第33話ここにもカエルの洋服……
「どんな洋服打ってるかね?里では見ない服が売ってるといいんだけど」
「そうね。せっかくだから、来たことがない服にチャレンジしてみたいわね。」
「私はお姉ちゃんと一緒がいい!!今日みたいにお揃いにするんだ!!」
そんな話をしていたら、服屋の目の前に着いた。
なぜ分からないが、入口が二つある……。従業員用かと思ったが、どちらもOPENと書いてある……。
どういうことなのか?
私たちはとりあえず、手前のドアを開けて中に入ってみる。
「いらっしゃいませ!!」
入ると、Tシャツや、スカート、女性用下着類がズラーと並んでいる。
特に、下着だが子供用パンツから、大人向けのスケスケなものまで全て揃っている……。当たりを見渡すが、男性物の下着類は売っていないみたいだ。
もしかして、ここは女性専用なのか?
「いらっしゃいませ。初めてのお客様でしょうか?」
そこには、セーラー服に似ている洋服を着ている店員さんがやってきた。
店員さんは、角が生えているので鬼族だろう。今までにあった鬼族の印象が良くなかったせいか、少し警戒してしまう。
「はい、初めてです。」
「そうでしたか。こちらは女性専用の服屋になってまして、奥の扉が男性用となってます。」
「そうだったのね。」
「はい!!」
それを聞いたお父さんは少し居ずらい用な雰囲気を出し始めた。それもそのはず、女性用の服だけではなく下着まで売っているのだ。
さすがに、娘たちの下着を買う時に一緒にいられないだろう。
「俺は隣の男性用で、服を見てくるよ。買い物が終わったら、こっちまで来てくれる?」
「「はーい。」」
お父さんは店から出て隣の店に入っていった。
「本日は、なにかお探しですか?」
「そうね。とりあえず、ゆっくり見せてもらってもいいですか?」
「かしこまりました!!ごゆっくり!!」
そういうと店員さんは、レジに戻って行った。
そして、私たちは店の中を散策していく。
「お母さん見てよ!!やっぱり私のセンスは間違ってなかったんだよ。ほら、カエルさんのTシャツここでも売ってるよ」
「「……」」
なぜ、ここでも売っているのか……。
そもそも、一面にでかくカエルが書かれている服を着ていたら、朝から気分が悪いし、食欲が無くなる。
私とお母さんはなんとも言えない顔で、サリアを見ている。
「お母さんもお姉ちゃんもどうしたの?もしかして、欲しくなっちゃった?」
「「……。」」
私たちが、なんとも言えない気持ちでサリアを見ていると、サリアはカエルの服のサイズを見だした……。ここまでいくと、お揃いにいようとか言い出しそうで怖い。
「お母さん。あっちにいい服あったから見に行こうよ。」
「ええ。せっかくですし、色々服を見に行きましょうか。」
「カエルさんは?」
「「また今度ね。」」
私たちは、カエルの服を購入するのをうまく逃げられてほっとする。
もうあそこの前は通らないことにしよう。
「この服だよ!!」と言うために少し歩いていると、どこかで見たことがある洋服に出会う……。
これは女性物なのか?
「お姉ちゃんこれが気になったの?」
「少し気になった程度だから……」
「見たことがない洋服ね。どんなコーデで、合わせるのかしら」
それは学ラン……。
なぜ女性用の副売り場に売っているのか……。
マジで謎すぎる。
そもそも疑似体験時では、男子が学校できる学生服だったはず。
ある界隈では、裸の女性に着せるのが流行っていると聞いたことがあるが、これはそのためなのだろうか……。
なぜここにあるのか考えていると、店員さんが、やってきた。
「その服についてお悩みですか?もしかして、何と合わせたらいいか考え中ですか?」
「この洋服見たことがないので、少しめにとまってしまって。」
「そうでしたか。これはですね。GAKURANというブランドの服です。この店には黒色しかないのですが、GAkURANの店では青や、赤などといった多色売ってる商品です!!今若者に人気なブランドとなってますので、気になるなら是非着てみてください!!」
「……わかりました」
私はつい流されて学ランを羽織ったけれど、違和感が半端ない。そもそも、「なんで私が着ているのだろう」という疑問がすごく湧いてくる。
私は鏡で確認したが、非常に似合ってなかったので、元の位置に戻しておいた。
「気に入らなかったですか……。何かございましたら、お声がけ下さい!!」
そう言って、店員さんはレジに戻って行った。
私は、先程の学ランの値段をこっそり見たが、他の服の5倍の値段だった……。
それから私たちは、自分たちが気に入った服を籠に入れていく。
私はスカートに苦手意識があるので、ロングパンツばかり入れているのサリアが、
「お姉ちゃん!!さっきからスカートひとつも入れてないじゃん!!お姉ちゃん可愛いんだから絶対に似合うのにもったいないよ!!」
「足がスースーするのが苦手なんだよ。それに、里内では草とかが生えてくから長ズボンの方がいいし。」
「ひとつぐらい買おうよ!!一緒のスカート履きたい!!恥ずかしかったら家の中だけでもいいから!!」
サリアは私の腕も左右に動かしながら、「ねぇ。ねぇ。」と言ってくる。
まさに、親にねだる子供のようだ。
長いスカートならまだ大丈夫なのだが、サリアが先程から見ているのはミニスカート……。
スカート苦手勢からすると難敵な存在。
でも、サリアが気に入っている商品をお揃いで揃いたいし、どうしたらいいの!!
私が頭を悩ましていると
「たまにはこういうものも着てみたら?最初は恥ずかしいけど、着てみると以外に大丈夫なものよ。それに、外で気ないのなら恥ずかしいってこともないと思うしどうかな?せっかくだから、試着だけでもやってみたら?」
「そうする」
「やった!!」
私は試着室に入り、カーテンを閉めたら何故かサリアも入ってきた……なんで?
「サリア。ここは1人で着替えるようだから、外で待ってて!!」
「私もスカート持ってきたし、一緒に着替えればいいよ。」
「そういうことじゃなくて、隣空いてたでしょ。そっちで着替えて!!」
「えー!!一緒に着替えようよ」
「ダメ!!スカート着ないよ?」
「分かったよ」
サリアは少し不貞腐れて試着室から出て、隣の試着室に入っていった。
お風呂の件もそうだが、さすがにここまでベッタリさせるとこっちが恥ずかしい。
私は試着室についている鏡を見ると耳まで真っ赤になっていた……。
お風呂の件を思い出したからか……。
私は顔を赤くしながらスカートを履いていく。
履いて鏡を見てみたが、似合いすぎて逆に怖い。どこかのアイドルでは無いか?と思うほどに……。
私は少し恥ずかしくなって、スカートの前部分を両手で下に下げようとしたが、これがなんと言えない絵面に……。
「お姉ちゃんすごい似合ってる!!」
「サリア!!」
気がつくと、カーテンから覗いているサリアの姿が!!
「勝手に覗いちゃダメでしょ!!」
「だって、早くお姉ちゃんのスカート姿見たかったんだもん。」
「それでもダメなの。着替え中だったらどうしてたの?」
「私気にしないよ?」
「そういうことじゃない!!」
私は少し呆れながらカーテンを開ける。
そこにはサリアだけいてお母さんが居ない?お母さんが入れば注意をするはずだよね?
どこに行ったのか?
私が、周りを見渡しているとサリアが
「お母さんはね。こっちで着替え中だよ!!」
「絶対に開けちゃだけだからね!!」
「もうわかったよ!!」
私がため息をつき、少し冷静になったところで、サリアのスカート姿をじっくり見る。
……。
自分の姿よりも似合っていて少しムッとする。
鏡で見た時に、ここまで似合っているのか!!と思っていたが、圧倒的にサリアの方が似合っている……。
私が、スカートばかり見ているのが恥ずかしくなったのか、サリアはスカートの前の部分を下に下げようとして顔を真っ赤にしている。
なにか犯罪的なことをしてしまったような感覚……。
さすがに、こんな学生がいたら学校のアイドルになってしまうだろう……。
「もう。スカート見すぎ!!少し恥ずかしくなってきたよ!!」
「ごめん。ごめん。ついサリアが可愛くてからからかっちゃった。」
「えへへ。お姉ちゃんに可愛いって言って貰えた」
サリアがニコニコしているとサリアが入っていた隣の試着室からお母さんが出てきた。
「どうかしら?似合う?まだ行けるわよね?」
「「……」」
なんということでしょう。
お母さんも私たちと同じミニスカートを履いているではありませんか。しかも、お母さんの顔は疑似体験時の二十歳の方々とほぼ変わらないので、全く浮いていない……。
母恐るべし!!
「お母さん似合ってるけど、お母さんも買うの?」
「そうね。少し迷ってるのよ。もし買っても家限定だから安心してね。」
「みんなでお揃いにしようよ!!そして、お父さんを驚かせよう!!」
「いいわね。アリアは、どうする?」
「私も買おうかな」
「やった!!みんなでお揃い!!」
私は試着室に戻ってスカートを脱ぎ籠に入れた。
「洋服沢山入れたけど、肝心なもの忘れてない?」
「「?」」
「下着よ!!」
「「!!」」
私たちは下着売場に向かった。
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次回はちょっとエッチな回です!!サリアが暴走しなければいいのですが……。との事で次回もお楽しみに!!
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
いつまでかは未定です!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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