第32話初めての猫人族

 今回は、武器屋などの冒険者専用なお店は行かないことになった。

 行ったところで、欲しいものもないし、噂が広まっていたら、また逃げられるかもしれないからね。


 私たちは、本屋に向けて歩いていく。


 「お姉ちゃんは、どんな本が欲しいの?大体の図鑑は読み干したと思うけど。」

 「そうだね。最近は、世界史に興味があるから、まとめてあるものとかがあれば欲しいかなって感じかな?少しでも知っていれば、他種族の方とも仲良くなれそうだし。」

 「お姉ちゃん大丈夫だよ!!私がいるから。」

 「……。」


 そんな話をしていたら、地図で記されている場所に到着。

 入口にOPENという看板があるから、わかったものの、それがなかったら普通の一軒家。

 しかも、何屋などの記述もないので、街に住んでいない人なら分からないだろう。


 私は、本当にあっているのか?という不安を抱えたままドアを開ける。


 「いらっしゃいませニャ!!」


 そこには、この世に存在してもいいのか?と思うほど可愛い猫人族の定員さんがハンディーモップをもって掃除をしていた。


 顔にはしっかりと髭が三本ずつ生えており、しなしなしておらず、しっかりピン!!っとたっている……。



 可愛い!!



 私は、本のことなんかすっかり忘れていた。


 「どうしましたかニャ?」

 「あっ!!」


 気づいたら、ずっと定員さんのことを見てしまったみたい。

 ダメだぞアリア!!エルフだからって珍しく見られるのが嫌だっただろう。定員さんもそう思っているかもしれない!!


 見たいのは分かるが、我慢するんだ!!


 私は自分自身に言い聞かすが、全く聞いてくれない。


 今でも、チラチラと定員さんのことを見てしまうし……。


 「なにかお探しですかニャ?」

 「あっえっと……世界史の本が欲しいんですけど……」

 「ちょっと待ってくださいニャ!!」


 そういうと、なにかブツブツ言い出した……。


 ……。

 もしかして、私に対する不満!!


 疑似体験では、猫は自由な生き物の印象が強かったけれど、こっちでもそうなのか!!


 もしかして、急に飽きたから、私の悪口でもブツブツと言い出したのか!!


 私は不安になりながら、定員さんが言い終わるのをまつことにした。



 「フェールドアーク!!対象世界史!!」


 すると、並んでいた数冊の本が、急に浮き出して定員さんの元に飛んでいく。

 飛んでいく時に、しっかりとページがパタパタならないようになっているが、この魔法の最もいい所だろう。

 本たちは、定員さんの元に飛んだと思ったら、レジにある台の上に飛んで行った。


 「ちょっと待ってニャ」


 定員さんが、レジに行ったと思ったら、台車をゴロゴロと押しながらやってきた。


 台車は、木の椅子を私の胸ぐらいまで長くしたものに、ローラーが四つ付いたものだ。


 本を運ぶのにもってこいの道具だ。


 「お待たせしましたニャ。これが、世界史ニャ!!ごゆっくりどうぞニャ!!」


 私は、台車からひとつずつ本を取っていき、中の内容を少しだけ覗いていく。


 「お姉ちゃん。いい本見つかった?」

 「そうだね。これとこれで迷ってるんだよね。」


 それは、赤ちゃんでも分かる歴史書と、本当の真実が知りたければこれを読むべしの2冊だ。


 赤ちゃんでものほうは、絵が沢山入っているので、非常にわかりやすいが、それに対して真実の方は一切絵がない。


 私だけで終わるならば、絵がない方でいいが、後々サリアも読みたい!!ってなるだろうし……。


 どっちにしようかな?



 私が迷ってると、サリアがこっそりと小声で言葉を放つ。



 「お姉ちゃん。どっちも里にあるよ。少し前に図書館に行った時、歴史コーナーが新しく作られて、この本があったよ。」

 「……。マジか……。」


 すみません。定員さん。せっかく魔法まで使ってもらったのに歴史書を買わないことが決定しました。


 私は、何かしら本を買わなくては行けないという気持ちで、一生懸命本を探しているとある本に出会う。


 これでバッチリ。料理本!!


 しかも、疑似体験時に使っていた字で書いてある。

 疑似体験時に見られた日本語という文字だが、こっちの世界では一切見たことがない。紗夜ちゃん曰く、昔の人間族の文字と言っていたが、そのところ本が何故ここに……。


 中を見るが、家庭料理から一から作らないだろう!!と思うようなものまでのレシピがびっしり書いてある……。


 私が、ペラペラとめくっているとあるレシピが目に留まる。パスタの作り方……。次のページを見ると、カルボナーラの作り方。その次はボロネーゼの作り方……。


 ついに来た!!


 実際に、疑似体験時の記憶を頼りにしながら料理をしているが、パスタなどはスーパーで買っていたため、茹でるという工程しかしてこなかった。



 作りたくても作れない。


 食べたくても食べられない。


 という気持ちが、ここまで悔しくて悲しいものだと初めて理解した料理。それがパスタなのだ。


 「どんな本を買う予定なの?」

 「これだよ!!」

 「何かしら?私には全く読めないけれど、アリアは読めるの?」

 「えっ……。読めるよ!!」

 「結構古そうな本だけど、何について書いてあるのかしら?」

 「私が疑似体験時に食べた料理のレシピが沢山書いてるみたい。私が作れなかった料理もこの本で作れそうなんだよね。」

 「本当かしら!!それではこの本を買いに行きましょう!!」


 お母さんは、張り切りながらレジに向かったので、私は後をついて行った。

 最近、私の家族は料理のことになると目が無くなるんだから……。


 私は少し呆れるのであった。


 「すみません。この本ください。後、歴史書ありがとうございました。」

 「はいニャ!!この本は、銅貨1枚ニャ!! さっき話していたみたいだけど、この本読めるのかニャ?」

 「読めます。家に帰って読むのが楽しみです!!」

 「すごいニャ!!多言語を勉強している私でも読めないのに……。もし良ければ、この続きだと思う本が裏にあるから見てみるかニャ?」

 「お願いします!!」


 そう言って定員さんは裏に入っていった。

 その間に、お父さんとサリアが私たちのところに来て、何を買うのか興味津々で、話しかけてきた。

料理の本ということを伝えると二人とも目をキラキラさせながら、ヨダレを飲んでいた。


 「おまたせしましたニャ!!この本ですけど、どうですかニャ?」


 私は、その本をペラペラとめくって見たが、疑似体験時に食べていた料理がズラーと載っていた。題名をよく見ると上下って書いてあった。


 「こっちの本もください!!」

 「了解ニャ!!もしかして、これからちょくちょくこの街に来ますかニャ?」

 「?あまり来れないと思いますけどて……。」

 「そうですかニャ。残念ニャ。お会計は2つ合わせて銅貨2枚ニャ!!」


 お母さんが、財布から銅貨2枚出してくれる。


 ほんとにこの値段でいいんだろうか……。何百ページもあるレシピ本2冊で1000円ぐらいだよ……。

 それに、現代において、料理革命が起きるレベルのレシピの品揃え。

 それを、1000円って……。


 私は、この値段でいいのか不安になりながら、定員さんに聞いたが、「大丈夫ニャ!!」と答えてくれた。

 今回は、お言葉に甘えることに。


 「ありがとうございましたニャ!!」


 私は「またどこかで会いたいな。」とボソッと言った。


 サリアは、そんな私を横目に見てプクっと頬を膨らます。


 「ほっぺ膨らませると、ほっぺがたれてきちゃうぞ!!」


 私はサリアのほっぺをぐるぐると円を書くように触る。

 サリアはそれが嬉しかったのか、ニコニコしながらほっぺをもっと膨らませてきた。


 「洋服買いに行くんだから、もうおしまい!!ほら、行くよ!!」

 「もっとぷにぷにしていいのに。」


 サリアは名残惜しそうに言った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

色々と今後の展開を考えているのですけど、語彙力が無さすぎて上手く書けなさそう……。文字を書くのが上手くなったら、改造とかして良くしていく予定です……。早く上手くなりたい!!


【お知らせ】

 また毎日投稿始めます!!

 いつまでかは未定です!!


 最後まで読んで頂きありがとうございます。

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