第4話 久しぶりのうさぎ肉

 家中に響き渡る声で、私の名前を読んでくれた。


 母の服装は、白Tシャツに緑の長ズボン。父の服装は白Tシャツに黒に長ズボン。

 慌ててきたのか、少し服装が乱れている。


 「こっちに座っておる。」

 「「ありがとうございます!!」」


 感謝を述べ、私たちのいるリビングに向かってきている。

 怒られる……必殺技があるけれど、長老夫妻に見られるのはさすがに恥ずかしい。

 いや、そんなことを言ってる場合では無い!!

 リビングに両親の姿が見えた瞬間私の体は勝手に動いた。


 「申し訳ございません!!」




 最終奥義土下座!!




 申し訳ない気持ちと、泣き顔を見られたくない両方の気持ちでついやってしまった。

 こっちの世界で土下座が知れ渡っていなかったら、急に謎のポーズをする変人になってしまうが、気にしてる余裕は無い。

 この状況では、誰の顔も見ることができないので恐怖心でいっぱいだ。


 そんな私に暖かな温もりが感じられる。


 「無事でよかった。」

 「ほんとに無事でよかった。」


 土下座する私を両親は抱きついてくれた。

 この瞬間、どこか張りつめていた気持ちが無くなって安心しきってしまった。

 気づくと私は子供のようにわんわんと泣いていた。土下座したまま泣いてしまった為長老のご自宅のカーペットは涙と鼻水でびちょびちょに汚れてしまった。


 「全く出かけることがなかった子が1週間感もいなかったから、村中のみんながどれだけ心配したことだか!!」

 「ごめんなさい。」

 「まぁまぁ無事に帰ってきたことだし、説教はなしにしましょう。」



 お母さんが、優しく声掛けするとお父さんは頷いてくれた。こんな私にここまで心配をしてくれるなんて疑似体験では考えもしなかったし、ありえなかったと思う。

 疑似体験で1度死んでしまったからこそ、家族の暖かさがどれほど素晴らしいものか分かる。

 私は両親の子供に生まれて良かった。



 「お母さん、お父さんただいま」



 顔を上げると両親揃って唇を噛み涙を堪えていた。

 それぐらい心配かけてしまったみたい。私は自分のことが嫌いになると同時に感謝した。


 「アリアちゃんも帰ってきたことだし、ささ、みんなでお茶でも飲んで行って」


 長老の奥さんクラキさんはそう言うと、キッチンに向かった。家族と同じぐらい温かいお茶を出してくれた。

 体が温かくなると心が温かくなるとよく言うが、こういうことかと実感した。


 長老の趣味なのか分からないが、マグカップは全て猫の模様が描かれている。一つ一つ違うことから、ついつい買ってしまう光景が目に浮かぶ。


 「すみません。何から何までお世話になりました。」

 「ありがとうございました」

 「気ににするでない」



 長老夫妻に挨拶を終え、自宅に帰宅。


 その間に涙は止まり、少し恥ずかしくなってきた。

 玄関に入るやいなや、両親と妹は私のことを抱きしめてくれた。

 私さ少し恥ずかしくなりながらも、3人に対して抱きしめた。


 「ほんとに無事に帰ってきて良かった。」

 「ほんとに、毎日アリアが帰ってくる夢を見ていたから、今が夢みたいだよ。」

 「お姉ちゃん。もうどこにも行かないでね。」

 「うん。ありがとう。」


 こんな幸せな時間がいつまでも続いて欲しいと願うのであった。



 それから少し時間が経って私たちは、夕食をとることになった。


 「今日は、アリアが帰ってきた記念日だから、アリアが好きなキノコとうさぎ肉のステーキパーティーにするよ!!」

 「「やったー!!」」


 キノコステーキパーティーとは、多種のキノコをステーキの形に切り、ホットプレートで焼く料理。疑似体験で言うことろの焼肉みたいな料理だ。(キノコバージョン)

 エルフの里の食事は野菜類を中心に作られるものが多く、メニューも疑似体験と比べられないほど。

 キノコだけで数千種類、近所で手に入る。

 それプラスお肉!!うさぎ肉は私の大好物!!

 疑似体験では、うさぎ肉のビーフシチューを1ヶ月に1回食べるほどだ。

 エルフの森に住んでいるうさぎ達はスピードが早く、危機管理能力が高くあまり捕まえられない激レア食材!!


 「うさぎ肉どうしたの?」

 「森から出て散策しようと思ったら、珍しくうさぎがいてね。しかもこちらに気づいていなかったのよ。そこでお父さんが弓矢でスバっと。一撃で仕留めてね。お父さん。うさぎが仕留められたから、運を使ったって言って悲しんでたのよ。今日は見つけられないって。うふふ」

 「ちょっそれは内緒だって」

 「そうだったわね♡」


 まさに理想の夫婦。もし結婚するならこんな家族になりたいな(疑似体験で独り身……)



   お母さんが夕食の準備をしている間にお風呂に入る為、1度自分の部屋へ。

 我が家は木造建築(エルフの家は木を想像させるような家づくり)2階建て。2階の奥の部屋が私の部屋。

 部屋には多くの図鑑が入ってる本棚。ベッド。観葉植物がある。


 部屋に入ると


 「感動的な再会だったね。こっちまで泣きそうになってきたよ。本当に申し訳ないことをしたと感じたよ。ごめん」

 「……うん」


 今までどこに隠れていたのか?

 急に出てきたロボットの紗夜ちゃん。ぷかぷか浮かぶ姿がなんとも言えない。


 「どこに隠れてたの?急に消えたから驚いたよ!!それにしても、あそこまで私のことを考えてるなんて思ってもなかったから、涙が止まらなかったよ。」

 「気配を消す魔法を使ってたから気づかなかったんだよ。急で申し訳ないだけど、私のことは誰にも言わないで欲しい。亡くなった方が急に現れたらさすがに怖いし、今回機械移入似たのもまぐれみたいなところがあったから誰かが真似したら大変なことになってしまうから。」

 「分かった」


 それもそうだ。こちらの世界にはゾンビの存在があるのか分からないが、どちらにせよ恐怖。

 それに、たまたま成功って言ってたけど、失敗してたら死んでたってことだよね!!

 自分にその魔法をかけるってほんとどうにかしてると思う。



 「今後の予定のことを話したいんだけど。私としては、アリアと一緒に色んなところを回ってみたいって願望があるんだ。エルフの里からあまり出たことがなかったし、友達自体も少なかったから、青春というものに憧れていて……。せっかく魔力もあげた事だし、多くの魔法を見て自分のものにして楽しんでほしいし。別に無理なら一人で行くけど、私としてはロボット一人だけでなく人であるアリアと一緒の方が色々都合もいいし……」


 それについては賛成である。

 エルフの里時代では、ずっと家で籠っている人生だったが、疑似体験を終えて人生の短さを実感した。

 自分が予想したよりも早く死ぬことなんてザラにあるのに、自分にはありえないと思っていたからだ。

 せっかく命があるんだから、色んな場所に行って色んな体験をしてみたい。

 それに、食事と地酒などといった楽しみもあるからね。考えただけで、楽しみになってきた。



 「それに関しては賛成かな!!」

 「では決定で」


 あっそうだ、洋服洋服!!

 これからお風呂に入らないとだからね……こいつついてくるのか?



 「紗夜ちゃん。これこらお風呂だけど着いてこないでね」

 「……分かったよ」

 「絶対ダメだからね!!」


 もしかして、一緒に入るつもりだったのか?

 さすがに仲がいい友達だとしても、これは別!!裸の付き合いとよく言うが、私は否定はの人間だからね。

 そもそも、機械が入ると壊れると思うし、防御魔法か何かを展開する予定だったのか?


 そんなことを考えながらクローゼットから洋服を選んで脱衣場に向かう。

 服を脱ぎ浴場に向かい、ドアを開けると檜のいい匂いが飛び込んでくる。

 体を洗わずに檜風呂に飛び込みたい欲が半端ない。


 しかし、1週間も入っていなかった臭い状態で入ったのなら次の人からクレームが出てしまう。


 旅館のお風呂のように檜風呂の端からお湯が出ている。マーライオンからお湯が出てくる温泉に憧れていたから、違和感半端なくなってしまうが変えてしまいたい!!


 我が家にはシャワーがないため、桶でかけ湯して頭、体を洗ってゆく。

 疑似体験では、黒髪だったがこの世界では金髪。

 透き通るような美しさき、今まで感じたことがないぐらいのサラサラ感がたまらない。

 それに、ぷにぷにの肌!!久しぶりのぷにぷに感に感動を覚える。



 ついに、檜風呂へ。



 結界に入るような緊張感!!また右足からゆっくり入れていく。


 「あちぃ」


 少し暑いぐらいがちょうどいい!!しかも一番風呂だからしょうがない。

 そして、もう片方の足も入れ肩まで浸かる。


 「ああ!!最高すぎる〜」


 もはや言葉に表せないほどの幸せを感じる。全身の力が抜けて体が溶けていくような感覚。


 ああああああああぁぁぁ。いい湯だな。

 これから毎日入るって考えると幸せすぎて死にそう……


 「お姉ちゃんもうすぐ夕飯出来るから上がってきて!!」

 「はーい」


 最高のお風呂タイム終了!!

 体を拭き着替えリビングへ



 高級旅館の夕食を感じさせるような、盛り付け方!!(まだ焼いてない)これを食べると考えただけで、ヨダレが……


 「さぁ食べるわよ!!みんな席について。焼き始めちゃうからね!!」

 「「いただきます!!」」


 まず初めに焼き始めたのはうさぎのお肉。

 ステーキサイズで焼き、取り分ける直前で1口サイズにカット!!

 口に入れるだけで、旨みが口の中に広がり、噛めば最高の肉汁。噛めば噛むほど、お肉の旨みも溢れ出てくる。疑似体験でもここまで美味しいお肉を食べたことがない。


 「美味しい〜」

 「今日取れて良かったよ。」

 「お姉ちゃん美味しいね。」

 「いっぱい食べてね」


 次は、わりたけというキノコ。ほぼしいたけ。

 こちらの世界でもレモンをかけて食べるのだが、今日取り立てなだけあって新鮮で、キノコ汁がすごい溢れてくる!!

 そんな感じで久しぶりの食事を満喫。疲れと、満腹になると眠くなってくる。やばい意識が……


 「もう眠いから今日はもう寝るね。おやすみ。また明日」

 「ゆっくり寝て、元気な顔しっかり見えるのよ。」

 「元気が一番だからな。」

 「お姉ちゃん。おやすみ!!」



 食べてすぐ寝ると牛になると言うが、そんなの関係ない。


 そのまま部屋に戻ると無意識にベッドに倒れ込む。


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結局長老の名前は出ず!!今回は、過去最大文字数!!普通だったら1話目で最長を出すと思います。(10話内ぐらいなら)

今回は、服装だったり室内の風景とかを書くのに力を入れました!!マジで難しい!! 読んだだけで全てが想像できるような文章にできるように頑張ります。

【今後の予定】

10話に達するまでは1日1話公開予定!!毎日0:00に公開します。 その後は水、土曜日に更新予定です。

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