第2話 開戦

「はっ!」

俺は飛び起きた。すると朝日が差し込む元々住んでいた自室にいた。

「戻れたのか?てか夢だったのか?」

俺は自室を出てリビングに向かった。

「母さーん?いないの?」

返答はなかった。俺は顔を洗いにいこうと洗面所に向かった。次に鏡を見た。すると俺は制服を着ていた。

「やけに動きづらいと思ったら。」

その後、顔を洗い自室に戻った。

自室に戻り、スマホを手に取り康太に連絡を取ろうとした。スマホの電源を入れると自分のホーム画面とは違った画面がでてきた。

「うわっなんだこれ?」

(この画面を見ているなら君は起きていることだろう。これから君たちには実際に能力を使ってもらう。第1プログラムのルールは簡単に言ってしまえばバトルロイヤルといったところだ。全員敵の中、こちらの出すお題をクリアしていけばクリアだ。さらに細かいルールとして、建物の破壊は不可能、公共施設は出入り可。ここからが重要だ。生活必需品は各プレイヤーに配られたポイントでやってもらう。次々に更新されるクエストをこなしていけばポイントが貯まり、色んなものと交換できる。そしてすぐ野垂れ死んでは困るので最初に500ポイント配布しておく。さらに、拠点への立てこもり防止として3日に一度拠点の変更を行います。近いところから遠いところまでこの舞台、Battle World通称BW全体が範囲です。なお、この世界にいる人はすべて被験者です。検討を祈る。)

「なるほど。なら。」

俺はその画面をスクリーンショットして閉じスマホの中身を詳しく探る事にした。まずは、クエストを確認した。内容は、

デイリークエスト

1能力をつかう(0/1)

2自分の拠点から3キロメートル離れる

3参加者を目視する(0/5)

とあり、どれも60ポイントもらえる。

「ソシャゲみたいだな。」

次にショップを見た。さっきクエストのところで見たポイントというのは主にここで使われるようだ。基本的に食べ物は45ポイント、武器などのナイフは300ポイントとハンドガンだと600ポイントと様々なものがあった。俺はお腹が空いていたので試しにもともと配られていた500ポイントの内45ポイントをカツ丼に交換した。するとカメラの画面になりカツ丼が映し出されていた。

"置く場所を決めてください"

と書いてあったので俺は机めがけてカメラを向けシャッターをきった。すると、そこにカツ丼が箸付きで出現した。

「おー、すげー。」

普通に関心した。俺はそのカツ丼を食べながら他にもできることがないか探った。味は普通であった。他にできることは自分の拠点がわかるマップ。形はまんま日本だった。ほかに参加者同士のチャット。オープンとパーソナルがあった。それにクランというものがあった。クラン機能があるということは、協力することが可能ということになる。まぁ、その仲間がいないのだがな。自分で言っていて悲しくなってくる。とりあえず俺はじっとしているのが嫌だったので、家を出た。すごく静かだ。

「本当に他の参加者がいるのか?」

と言うくらい静かだった。だが、俺はさっき見た拠点から3キロメートル離れるというクエストをこなそうと思って適当に隣町まで歩くことにした。そして自宅から隣町までの間にあるデパートにたどり着いた。とりあえず俺は正面入り口から入った。ここも異様に静かだった。

そしてなぜか品出しがしっかりされていた。棚から飲み物と非常食を家から持ってきた鞄の中につめた。その時、カバンの中で何かに触れた。俺はそれを取り出した。それは明かりとしてもって来たマッチだった。そんなことはおいておいて、無人だったためそのまま出ようとした。

「良い子は真似するなよ。なんてな。」

なんて言いながら外に出ようとしたその時、上から物音がした。デパートと言ったが中央が筒抜けになっていてこんなに静かなのだから物音がすればすぐに聞こえる。俺は音のする方を正面にし、出口に近づいた。そして、あと5メートルといったところで走り始めた。すると、俺は何かを蹴り飛ばしてしまった。蹴り飛ばしたそれがプシューと音をたて煙が充満する。

そう、俺が蹴ったのは発煙弾だった。だか道は分かっていたため走りは出そうとしたその時、キラリと何かが光った。それを見て後ろに下がった。そして、そのスモークの中から

「おいおい、避けるなよ。」

と声を出し刀をもった男がこちらに近づいてきた。

「誰だお前は。」

俺はとっさにこんな言葉しか出なかった。

「それはこっちのセリフだよ。せっかくの物資をあさりやがって。返してくれるかな?さもなくば殺す。」

と言い男は急にこちらに向かってきた。戦いたいが今、康太からもらった電気の能力も武器もない状態では絶対勝てない。だから俺はデパートの中を逃げまくった。その時男はただひたすらに俺を追い続けていた。そんなことを考えていたら前に視線を戻した時に急に男が目の前に現れた。

「お前、遅すぎ。」

と言った瞬間攻撃してきたが動体視力が良いのかなんとかかわせた。このままじゃどうしようもないと思った俺は即興で武器を作ることにした。ここはデパートだから簡単かつ危ないものができる。まずはあそこだなと思い、俺はまた飲み物のコーナーにきた。そして、2Lの水をもち、次の場所に向かった。次に向かったのは洗剤売り場だ。だが目的は洗剤ではない。そして俺はそのコーナーの端っこにあった掃除などに使われる強炭酸の重曹を持てるだけ持ちまた走った。そして最後は粉物売り場だ。ここではなるべく薄いフィルムにパッケージされた小麦粉を手にとった。これで揃った。その間男は来なかったが今のうちに用意をしておこうと思い、俺は作業を始めた。まずペットボトルと小麦粉を家から持ってきたガムテープでくっつけた。そしてキャップと重曹の袋を待機した。そして男が正面からやってきた。

「おいおい、何してるんだ?まさかギブアップか?なら持ち物を差し出せ!」

と男は言ったが俺は

「いやだね!」

と相手が驚くほどの大声を出し、ペットボトルの中に重曹を急いで入れてキャップを閉めて適度に振り、思いっきりぶつかるように相手に投げた。そうすると重曹と水によって発生した二酸化炭素がペットボトルの許容量を超えて爆発した。そしてその爆発で小麦粉の袋が破れあたりに散った。これこそ自作の発煙弾だ。これで少しは視界が奪えたはず。と心で思いながら男を見た。男は爆発を少し受けたためひるんでいた。そして、俺はその間に出口に走った。俺がデパートの二重扉をくぐった時男はこちらめがけて高速で移動してきていた。

「まじかよ。なんだよあの速さ。」

このままだと殺されると思い、そこで俺はさっき鞄に入っていたマッチを取り出した。こんなことしたくなかったが俺は火をつけたマッチを投げようとしたその時男がありえないほどのスピードをあげて気づいたら俺の2歩手前ぐらいにいた。それに驚き俺はそのままマッチを投げてしまった。そして、男が切りかかった瞬間デパートの中が大きな音をたてて爆発し燃えた。あまりやりたくなかったが、俺がやろうとしたのは相手の視界を奪うのではなく小麦粉を使った粉塵爆発。本来なら大きな爆発というのは起こらないはずなのだが、それが何かに引火したらしくあれほどの爆発を起こしたらしい。それにより俺と男は吹っ飛んだが、男が壁になったおかげで助かった。そして、男は気を失っていた。今がチャンスだと思い、俺は隣町の方へ走り出した。そして少し離れて振り返ると男が倒れているのと無傷のデパートが見えた。俺は不思議に思った。爆発が起きたのに壊れないなんて。俺は理由を考えた。そして、俺は思い出した。最初の説明で建物の破壊不可能と言っていた。こんなになっても壊れないなんてと思いつつなるべく、戦闘は避けたいものだと思った。

とにかく、なんとかなったわけだから当初の目的であった自分の住居から3キロメートル離れるというミッションがあと少しになっていたのでも住居とデパートを背にするように走った。それから数分間走っていったところで小さな音で携帯が鳴った。

「なんだ、急に鳴り出して。」

恐る恐る携帯を覗いて見るとクエスト達成と表示がでて60ポイントもらえた。

「なんだ、脅かすなよ。」

そうスマホに言いながら、目的を達成した俺はこのまままた戦闘になるのが嫌なので拠点に帰ることにした。そして来た道を戻るために走り出した。なるべく戦闘を避けるため人通りのない道を選ぼうと思ったがそうすると不意打ちをつかれそうなのであえて開けた道を選んだ。脇道や上空などを警戒しながら走って帰っていると空に人影が見えた。俺はそいつに見つからないように様子をうかがった。するとその人は空から姿を消した。

「は?まじかよ、何だあれ。」

流石に人が消えたら驚きは隠せない。だがそれと同時に俺は嬉しかった。多分あれは能力だろう。と考えると発動の瞬間を見たことになるから俺は一つ能力を得たことになる。だが、肝心の能力がわからない。だから俺はてきとうな予想をたてた。

「上空にいた状態から姿を消したのなら飛ぶ系かもしくは瞬間移動やテレポートの類になるのが無難だろう。」

そこで俺は実験をしてみることにした。もしテレポートだとしたら長い道のりをパスできるわけだしな。だから俺は一番可能性としてありそうな飛ぶ系のものを試してみました。飛ぶマネや翼のイメージをしたが、何も起こらなかった。だから次は移動系を試してみることにした。少しほそくをしておこう。瞬間移動とテレポートは似てるようで違うものである。瞬間移動は一見行きたい場所までワープしているように思うが実はそのいきたい場所までものすごい速度で走っているというのが正しい。逆にテレポートというのがワープをしているというものになる。そんな情報は置いておいて。次に俺は、テレポートを試す事にした。目を閉じ、そして自分の部屋を想像した。それから目を開けると自分の部屋に戻っていた。どうやらあの能力はテレポートであっていたようだ。まぁ今それに気づいたからといって、もう使えないのだから関係ないのだけど。なんとか家に帰ってきたのだから今日は外出するのはやめておこうと思った。


〜翌日〜


久しぶりに良い目覚めをした。なぜならこの場所は建物の破壊が不可能なので戸締りさえしたしてしまえばそこは安全な要塞となる。だが明日にはここを移動しなければならない。なぜならこの拠点にいて3日が経つ、ということは拠点が変更になるということだ。

「このままのが良かったのにな。」

あの施設にいた期間はそう長くなかったけど、やっぱり自分の家が恋しくなった。そりゃそうだ、家があるから、帰る場所が決まっているからこそホッとするのだ。だから自分の居場所を求めるのだ。ただ駄々をこねていたって仕方ない。拠点が変わる時間は知らされていないからひとまずいつでも外に出られる準備をして待機をする事にした。そして時が訪れた。スマホが鳴り出しメッセージが送られてきた。とりあえず読み上げる事にした。

(まだ生きていた事については褒めてやろう。早速、次の拠点を発表しよう。次の場所はこのメッセージの下にURLをはっておいた。そして拠点としての効果は今日の正午に切れるので十分に注意したまえ。では健闘を祈る。)

と書かれていた。相変わらずの上から目線に少々腹が立った。まぁそんなことは置いておき、俺はいつでも出発できる準備をした。今の時間は9時ちょうどだから今のうちに次の場所を確認しておく事にした。あらかた準備が終わって落ち着いたから改めてスマホの画面を覗いた。なんと次の拠点はあの戦闘のあったデパートの近くだった。正直、あそこにはもう近づきたくなかった。

「マジか、またあの場所に行くのか。」

となるくらいだ。まぁ仕方がない。どれだけ抗ったとしてもこの事実は変わらないのだから。もしかしたら、帰ってこれないかもしれないから。だからせめて最後にこの家を見て回る事にした。やっぱり懐かしかった。それにしても思い出とは不思議だ。いつまでも自分の心の中に残っているというのにその瞬間が過ぎ去ってしまうと急に恋しくなり、子供であろうと、大人であろうとそんなことを思うのだから。こうして思い出に浸り終わった俺は、出発して拠点に着くのにちょうどいい時間になったので、俺は家を出る事にした。

「必ず帰ってくるからな。」

そんな言葉を残して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

寝て起きたらソシャゲみたいなバトロワが始まったんだけど 守端 蛙助 @alkahone

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ