第4話

 激しい衝撃が身体中を襲う。ブレスの比じゃない。


 生暖かい液体に浸され、口の中にまで入った。血の味がする。それと同時に、先ほどまで感じていた痛みは完全に消え去った。両手足を見れば、ケロイド状に溶けていた皮膚は、綺麗に戻っている。それに目も耳も異常がない。


 竜は倒れていた。下半身が全てなくなっていて、絶え間なく大量の血が溢れている。


「まさか倒されるとは思いもよらなかった。そんな奥の手を隠しておったとは、……完敗じゃ」


「そうか」


「フッ……嬉しくなさそうじゃな。80階の主人を倒したのじゃぞ。もっと喜べ愚か者」


 俺はアイテムボックスから予備のロングソードを取り出し構える。


「慎重じゃな。安心しろ。もう戦う気力すらないわ。そうじゃな、我を倒した褒美にひとつ教えておいてやる。竜の血は万病の薬じゃ。この世界のなかでしか使えないが、どんな傷でもたちまち治ると言われておる。そなたの今の姿を見れば察しがつくか……人間どもはこの塔が80階までしかないと思っておるようじゃが、我ですらわからないほどにこの塔は高い。80階など半分も来てない……きっと敵をとってくれる、そうじゃろ……」


 俺は急いでポーションの空き瓶を取り出し、血を回収する。モンスターは死んでしまうと、一瞬でアイテムに変化してしまうため、瓶に入れていないとこの血液も無くなってしまうからだ。


 3本入れ終わったところで、竜の身体が光に包まれた。そして、アイテムに変わる。一振りの刀が落ちていた。禍々しい黒い霧に覆われており、呪いの効果でもありそうだが、気にせず拾う。


刀名:炎竜骨

Sランク

譲渡不可


「おぉ、Sランクのアイテムとか初めて見た」


 握った瞬間、黒い霧は晴れ、赤黒い刀身が姿を現した。それは生きているかのように艶かしく動き揺れている。鞘はどうしようかと考えたときに、腰に違和感を感じる。いつの間にか、鞘が装備されており、いつでも収納してくれと言わんばかりだった。


『レベルUPしました。レベルUPしました。レベルUPしました。レベルUPしました。レベルUPしました。レベル……』


 通知が鳴り止まない。ステータスカードを見れば凄まじい勢いで数字が変わっていく。気づけば、40近い数字まで出ていた。


『スキル竜の鱗を獲得しました』

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