閑話っわ〜
ファンアート描く上での注意事項……
VTuber活動してれば自ずと出てくるのは、ファンのみなさんが描いてくれたイラスト。つまりファンアートである。
すごく可愛いイラストから、綺麗なイラスト。そしてかっこいいイラストなど様々なファンアートを漁るのが結構楽しかったりする。
けど、ひとつ俺たちを描く上で忘れてもらってはいけないことがある。
VTuberと言うバーチャルの存在とは言え、隣ちゃんとるなの中の人はまだ未成年なのだ。
「まあ、出てきちゃうんですよねぇ」
「欲望に正直というか……」
本社の会議室で佐々木さんとミーティングを行っていたら、話題のひとつで叡智なファンアートの件についてがあがってきた。
デビューする上で、隣ちゃんはまだ未成年だからそう言うイラストはまだやってはいけないですよー……と注意事項もしっかりと出してはいた。
けど、描きたくなっちゃったんだと言う欲望に素直な人はどうしても湧いてくる。
「個人で楽しんでくださるんでしたらまだ大丈夫なのですけどね……」
「ネットにあげる人はまあ、どうしようもないですよね。一応、少しだけ配慮してるのか隣ちゃんをブロックした上でファンアートタグを使わないでいてくれますけど」
俺が呆れたように返事を返すと、佐々木さんも同意するように肩を竦める。
「夜空さんでも同様のことが起きてますからね。けど、雨宮さんは心配しないでください。それを取り締まるのが私たち大人の仕事ですから。バンバン警告していきますよ」
「ええ、頼りにしてます」
大人の立場で言ってくれる佐々木さんに俺は頼りになるなと思った。
「実際に困るのは描いた方だと言うことを理解して貰わないとですからね。容赦なく取り締まって行かせて貰いますよ」
そう言って眼鏡をクイッと持ち上げてキランと光らせる佐々木さん。本当に頼りになるけど……眼鏡ってそんなに光るんだとちょっとどうでもいい事を考えてしまった。
ミーティングを終わらせて、家に帰って夕飯を食べた俺は、はづきさんとソファで食後のお茶を飲みながら雑談の内容で佐々木さんと話したことを出した。
「という話をしてきたんだよね」
「やっぱり隣ちゃんでも出てきちゃいますか」
「大部分の人は描かないでいてくれるのが救いだね」
「ですね。せめて、私たちが18歳になるまで持って貰いたいもんですよ」
まったく……そんなことを呟いて頬を膨らますはづきさんに苦笑を漏らす。
そのすぐ後に、はづきさんのセリフでふと気になったことがひとつあったことに気づく。
「はづきさん的にはその……18歳になるまで待って欲しいって事は、そう言うイラストを描かれるのは別に嫌ではない感じ?」
頬が赤くなっている事を自覚しながらも、言葉をぼかして質問をしてみると、どストレートな答えをすぐに返されて面食らってしまう。
「エッチなイラストは好きですよ。だから18歳になるのが待ち遠していですね(葵さんの赤面した顔かわいいですね……)」
「……オブラートに包んだ俺の気遣いを返してくれ」
「すみませんでした!」
「まったく悪びれることの無い謝罪!?」
「ふふふ。いじけちゃいました?」
「っ〜〜……もう知らない」
俺のツッコミを笑いながら流したはづきさんに恥ずかしくなってしまい、頬をふくらませてそっぽを向いて分かりやすくイジける。
そうしていると、微笑ましそうに笑ったはづきさんが手元のスマホを操作してタイムラインに流れてきたものを見せてくれる。
「ごめんなさい、もうからかいませんよ。それにほら……私はどちかと言うとこんなイラストが好きですから」
「むー……あっ」
いじけてますー。とばかりにしばらくそっぽを向いていたけど、少し気になったので視線を画面に向けてみるとそこに映っていたのは。
「るなりんのファンアートっ……!」
「やっぱり可愛いくてホンワカしたイラストやストーリー性があるイラストの方が1番ですから」
画面に映っていたのは。
隣ちゃんが作った料理を配膳している後ろ姿と、楽しそうに足を揺らして待っている、るな。2人の暖かい日常の風景。
ほかにも、雨の中から手を引っ張ってるなを助け出すような隣ちゃんのイラストなど。
イラストレーターの方たちの表現力の高さと言うのか、クオリティの高さに感動すら覚える。
「まえ、ママに教えて貰ったんです。私たち2人のファンイラストが結構あると」
「空ママから……。なんか、いいね。俺たちの関係がファンのみんなに受け入れてもらえているのがよく分かると言うか」
「はい。だから、これからもっと楽しい日々を2人で一緒に過ごして、リスナーのみなさんにいい関係の2人だと、もっと思って貰いましょうか」
「だね」
嬉しそうにそう言った彼女に俺も同意を返してこの話題はここで終わりだなとひと段落付けようとした。
その時、いい感じに雰囲気が穏やかな感じになってきたのではづきさんは少し油断していた。
はづきさんが画面をスライドして次のイラストを見せようとしていたら、次にでてきたイラストがさっきまで話題に出していた、そういう系のイラストだったのだ。
恐らく、タグ名を間違えてつけてしまったのだろうけど、隣ちゃんとるなの2人の実に叡智なイラストがタイムラインに流れてきてしまっていた。
しかも、なんかブックマークが着いているんだよな。
「……っすぅ〜〜」
「はづきさん……?」
ジト目になっている自覚しながら穴が空くのでは無いかと思うほどにはづきさんを見つめる。
しばらくそうしていると、いたたまれなくなったのか、観念したようにゆっくりとソファからカーペットの上に正座して頭を下げるはづきさん。
それはあまりにも綺麗な土下座だった。
「誠に申し訳ございませんでした。出来心なのです」
その日ははづきさんの誠意の籠った謝罪に、実に叡智なイラストの事については不問に付す事にしてあげた。
後日、空ママにとも同じように話題を出したところ、視線を逸らし始めたので、彼女にジト目を送った事になったのは、また別の話だ。
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どうも……VTuberとは言えど未成年に叡智なことしてはダメと思ったので今回のストーリー書いた作者です。
まあ、物語の上でだけですけどね!
るなちゃんと隣ちゃんのイラストいつか見てみたい(欲望)
隣ちゃんとるなのいかがわしいイラストは、よく見ないと百合にしか見えない感じのをイメージしてもらえたらと思います丸
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