第4話 音楽部の挑戦

音楽部に入部して数週間が経った。華乃は毎日の学校と塾の合間を縫って部活に参加し、ピアノの腕を磨いていった。部員たちとの絆も深まり、少しずつ音楽部の一員としての自覚が芽生えてきた。


ある日、香織子先生が音楽室に集まった部員たちに話を切り出した。「みんな、来月の文化祭で演奏を披露することになったわ。各自ソロパートを含む曲を演奏するので、それぞれのパートを練習しておいてね。」


部員たちは興奮しながら話し合いを始めた。文化祭での演奏は彼らにとって大きなイベントであり、一人ひとりが自分の技術を披露する場でもあった。


「華乃ちゃん、ピアノのソロパートを担当してもらえないかな?」香織子先生が優しく問いかけた。


「私がですか?」華乃は驚きながらも、少し不安そうに答えた。「まだ入部したばかりで、私にできるかどうか…」


「大丈夫よ。華乃ちゃんならきっと素晴らしい演奏ができるはずよ。」香織子先生は微笑んだ。


「私も応援するわ!」小鳥子が元気よく言った。「みんなで練習すれば、きっと成功するよ。」


「そうだよ、華乃ちゃん。一緒に頑張ろう!」魔帆も励ましの言葉をかけた。


仲間たちの温かい言葉に背中を押され、華乃は決心した。「わかりました。頑張って練習します!」


それからの数週間、華乃は一層練習に励んだ。学校が終わるとすぐに音楽室に向かい、ピアノの前に座った。ソロパートの難しい部分を何度も繰り返し練習し、ミスを減らすために努力を重ねた。


部員たちもそれぞれのパートを一生懸命練習し、放課後の音楽室はいつも活気に満ちていた。みんなが同じ目標に向かって努力する中で、華乃は仲間たちとの絆が一層深まるのを感じた。


ついに、文化祭の日が近づいてきた。華乃は不安と期待が入り混じった気持ちで、自分の準備が十分であるかを確かめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る