第7話 トラブル発生
練習室の中は、木の温もりが感じられる木製の床と、反響する音で賑やかだった。ピアノの音が響く中、木龍華乃は心の中で緊張を感じていた。今日の練習は、合奏のパート分けに関する重要な議題があった。だが、話し合いは予想以上に険悪な雰囲気に進展していった。
「この部分はもっとゆっくりでいいと思うんだけど」と、坂井小鳥子が言った。
「いや、リズムを維持しないと全体が崩れるよ」と、倉瀬魔帆が反論した。
「それに、私たちは一つのテンポで演奏しなければならないから、もっと速くするべきだと思う」と島山有沙が加わった。
意見の食い違いがエスカレートする中、華乃は気まずい空気に包まれていた。自分の考えが正しいとは思えず、また反論する勇気も持てなかった。指導していた瀧波桃も、場の空気を和らげようと努力しているが、解決策は見いだせずにいた。
「こんな風に意見が食い違ってばかりじゃ、練習が進まないよ」と、川上菜な花が言い出す。
「それでも、私たちのやり方でいいと思っている」と、絵神香織子が続けた。
華乃は自分の意見が無視されているように感じ、またそれに対して何も言えない自分に対して苛立ちを覚えた。心の中で、みんなとついていけていないという不安が増していく。
「このままじゃどうしようもない」と、華乃は内心で呟いた。彼女の心は徐々に重くなり、練習に対する楽しさが薄れていくのを感じていた。
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