セイレーンバースの世界で。
セイレーン。それはこの世界での、いわゆる怪物の名前。
『失恋姫』とも呼ばれるセイレーンは、『王子様(プリンス)』に選ばれなかった『お姫様(プリンセス)』の行き着く先だ。
失恋したお姫様には翼が生えて、怪物へと変質してしまうのが世界のルール。
しかも、最初は純白の羽根だったセイレーンも時間や与えた被害と比例するかの様に、どんどんと黒い羽根になってしまう。
真っ黒な翼の色なんて、どれたけ危険視されるか分かったものじゃない……のに。
「なんで俺は最初から黒い羽根なんだよ……」
自分の翼を見て、俺は目眩を覚えた。
そもそも。
セイレーンは失恋した『お姫様』が変貌したものだ。
『お姫様』は『王子様』と結ばれる事が出来るが、セイレーンになるリスクもあるので『役なし(プレーン)』として生きていく者も多い。
なお、この世界での役割はこの四つ。
つまり男性として生まれてきたからには、全員が王子様という役割を背負ってお姫様を守る。
……というのが、世界や俺の常識だった。
「でも、失恋したら男でもセイレーンになるなんてなぁ……」
本当に、こんな事は学校でも教えてくれなかった。
これから、俺はどうしたら良いんだろう……。
「と、取り敢えず別のセイレーンをナンパ、とかかな……?」
半ば混乱しつつも、俺は取り敢えずそんな事を考えた。
もちろん、まだ失恋の痛手が癒えた訳では無いので『本気で誰かと結ばれる』つもりは無いが……。
しかし半ばヤケになっていた俺は、他のセイレーンを探しに飛び立ってみたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます