永眠
今は昔、歴史上の人物の生涯を再現VTRで振り返る番組が放送されていた。
番組のラストでその人物の年表が流れ、最後に永眠と締められていた。
子どもだった僕は「永眠」という文字が読めなかったが、次第に読めるようになり、その意味も理解してしまった。
その瞬間、眠ることが怖くなった。
明日、目が覚めないかもしれないという恐怖が心を締め付けた。
目をつぶること自体が、恐怖を抱える行為になってしまった。
しかし、毎日眠るし、毎日起きた。
日々が繰り返される中で、徐々にその恐怖は和らいでいった。
やがて、眠ることは死ぬ練習だと考えるようになった。
無と有を交互に経験することで、心を慣らしていくのだと。
それでも、死の恐怖が一番強く襲ってくるのは、眠ろうとする時だ。
何も考えないこと以外に対策は見つかっていない。
どうか、今日も安らかに眠りたい。
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