腹切帯

僕の服装は地味だが、ベルトだけは緋色ひいろのものを締めている。


腹切帯はらきりおびという見立てが、かつて流行ったらしい。

横一文字に腹を裂くイメージだ。

「メメント・モリ」の象徴として、僕はいつも緋色のベルトを身に着けている。


切腹は、時に名誉だとされると聞いた。

本当だろうか。

本人もそう思って、腹を切っただろうか。


僕の部屋には零戦が飾ってある。

特攻の命令を受けてから、死に至るまでの最期の時を、彼らはどう過ごしたのだろうか。


幸いにも、今時分にそのような状況に迫られることはないだろう。

しかし、どう生きようが最期に待つのは絶対的な絶望である。


誰かのために命を捧げることで、彼らの心は幾らか救われただろうか。

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