そのひぐらしたちの話

山林の中で過ごす昼休み、ひぐらしの鳴き声が耳に届く。


夕方から鳴き始めるイメージがあったが、ここでは昼下がりからその声が響き始める。

仕事の合間に、自然の声に包まれるのは、贅沢なひとときだと感じる。

一匹、また一匹と、その声は次第に重なり、やがて輪唱へと変わっていく。


まるで波のように、絶え間なく押し寄せては、また静かに引いていく。

その鳴き声の中に、命の儚さを感じ取ってしまう。


ひぐらしは短い夏の間に、その全てを鳴き声に込めている。

その声は、この時この瞬間を全力で生きている証だ。

その想いを聞き、僕は限られた時間の中で何を成すべきかと考える。


有限であるからこそ、そのすべてが愛おしい。

日々の中で見過ごしてしまいがちな小さな幸せを見つけることも、生きることの尊さなのかもしれない。


ひぐらしの声が静かに消えていく前に、僕はその美しさを胸に刻んだ。

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