そのひぐらしたちの話
山林の中で過ごす昼休み、ひぐらしの鳴き声が耳に届く。
夕方から鳴き始めるイメージがあったが、ここでは昼下がりからその声が響き始める。
仕事の合間に、自然の声に包まれるのは、贅沢なひとときだと感じる。
一匹、また一匹と、その声は次第に重なり、やがて輪唱へと変わっていく。
まるで波のように、絶え間なく押し寄せては、また静かに引いていく。
その鳴き声の中に、命の儚さを感じ取ってしまう。
ひぐらしは短い夏の間に、その全てを鳴き声に込めている。
その声は、この時この瞬間を全力で生きている証だ。
その想いを聞き、僕は限られた時間の中で何を成すべきかと考える。
有限であるからこそ、そのすべてが愛おしい。
日々の中で見過ごしてしまいがちな小さな幸せを見つけることも、生きることの尊さなのかもしれない。
ひぐらしの声が静かに消えていく前に、僕はその美しさを胸に刻んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます