錆びついた屋根と雨音

 雨が好きなんだけど、最近の雨は強すぎて、そんな激しい雨はあまり好きじゃない。もっと、しとしとと静かに降ってほしい。


 そんなことを思いながら、晴れ続きの日々にうんざりしつつ、いつもの駐輪場に向かった。


 そこはだいぶ古びていて、受付のおじいさんたちも少しボケてるから、定期券を買う時やお金を払う時は、ちゃんとお釣りが戻ってくるかどうか、いつもハラハラする。


 もしお釣りが足りなかったら、「足りないです」って言うのには、僕にとってかなりの勇気がいる。


 でも、おじいさんたちから漂うタバコの匂いが、どこか懐かしくて、おじいちゃんの家のドアを開けた瞬間の匂いに似ている。それが妙に落ち着くんだ。


 そんな古びた駐輪場では、風が吹くと、錆びた屋根がポツポツと音を奏でる。


 今にも崩れそうなくらい、錆びていない部分が見当たらない屋根。元は何色だったんだろうと考えながら、その錆びた屋根が奏でる音に耳を傾けると、それが僕の好きな雨音に似ているから、この駐輪場が好きなんだ。

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