第3話

 次の授業が始まる。

 改めて周囲を見渡す。

 この教室にはリアれての登場人物がたくさんいた。


 まずは廊下側の前列。

 金色のミディアムヘアが特徴的。ここから見る金髪は神々しさを纏っており、まるで天使のよう、とさえ思ってしまう。

 しかし中身は天使ではなく悪魔だ。

 クラスカーストの上位に君臨し、男女の対立の原因を作った人物であるのだから。

 彼女の名前は朝日七海。

 リアれてにおけるキャラクターポジションはヒロインではなく敵役。悪役とでも言えば良いか。演出上必要不可欠な存在でありながらも、決して人気は出ない嫌われるために生まれたようなキャラクターである。実際読者から執拗以上に嫌われるよう描写をしたことなぁと懐かしむ。


 次に教卓の目の前の席。

 赤茶のナチュラルロングヘア。光の当たり方によっては赤色に見えるほど赤要素の強い茶色の髪の毛が特徴的。

 顔立ちはかなりくっきりしており、可愛いというよりも綺麗という言葉が似合う。銅像とか彫刻とかそういう芸術品の中から飛び出してきたような美しさがある。

 そんな彼女の名前は鮭川寧々。

 リアれてのヒロインズであり、正妻である。ヒロインレースに勝利する者。プロット段階から寧々と主人公がくっつくのは決定事項だった。だが、読者たちはそれを望まず、挙句の果てには死に追いやるほどに叩きまくった。許さん。

 でもくっつけたことそのものに関しては後悔していない。この展開がリアれてだから。


 そして彼女の後ろに座っている一見さえない男。

 彼こそがリアれての主人公。白鷹海斗だ。

 この段階においてはまだヒロインズと仲良くなっていない。だから席こそ近いが互いに干渉しない。


 で、つーっと移動して、隣には南陽寧々がいて。ここには私がいて。私の二つ後ろには村山輝がいる。ちなみにコイツは白鷹の親友ポジション。ピアスしているところからわかる通り、かなりヤンチャな人間だ。ただ根は優しい。それに学もある。なんだかんだで定期テストも学年上位を毎回取っちゃうタイプ。

 私的には結構いやーな感じのキャラクター設定にしたつもりだったが、鈴ほどではないにしろそこそこ人気があった。村山に腐の空気を感じ取り、女性読者が勝手に主人公とくっつけたりしていた。

 その想像力には脱帽ものである。ここだけの話、羨ましかったりもする。


 と、まぁ主要キャラクターはこんなもん。

 自分の作ったキャラクターたちが誰の意思でもなく自分の意思で動いている。生きている。喋っている。

 創作者としてこれ以上に嬉しいことはない。

 自分の作ったキャラクターにイラストがついたとき、漫画としてイラストに躍動感が生まれた時、ドラマCDとなって声がついた時、アニメ化してキャラクターたちがぬるぬると動き始めた時。

 このどれよりも嬉しい。

 正直こうやってぼーっと彼女たちのことを見ているだけで幸せな気持ちになれる。

 子供が成長するのを見守る親みたいな感じだ。

 自分の子供が可愛いって。そりゃ当然だよねー。

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