ぶつかったら消えるミニカー

えことね

ぶつかったら消えるミニカー

 こんな微妙な時間帯になんだ、と思われるかもしれませんが、書きたくなったのでしょうがないのです。


 こんにちは&はじめまして、えことねと申します。 カクヨムでこうして小説をアップするのは、実は二回目です。

 2021年だったか、別の名前で何本か短編ホラー書いて飛びました。すみません。

 当時の原稿データも飛ばしましたので、残念ながら現在と比較して成長記録~なんてこともできないのです。(後悔しています)


 さて、その頃の私には、それはそれはひどいリセット癖がありました。 幼いころからの完璧主義と裏腹な自分の怠惰に嫌気がさして、SNSアカウントがいくつ闇に葬り去られたかわからないほどです。

 …と考えながら、わずかに残った昔のログを掘り起こしてみましたが…途中でそっ閉じ。こういうのは押し入れの奥深くにしまっておくに限る。


 まあ要するに、壁にぶつかったら存在ごと消えるとんでもミニカーだったわけです。

 そんな変わったミニカーである私のことを、少しお話させてください。


 "リセット"。


 この厄介な癖、いつからか私に住み着いてしまったようです。

 仮に、一度もぶつからずスイスイ進めていたら、当時の私はそんなことをしないで済んだのでしょうか。もしくはミニカーでなく飛行機なら、うまくいっていたのでしょうか。 そうやって過去を振り返って、幾通りもの" たられば "を思い描いていた時期もありました。

 私は他のミニカーを羨ましく思いました。壁にぶつかってもみな、サッと方向を変えて走り出せるのです。 それに比べて私のミニカーは、何台何台も生まれて、すぐに消えていました。 幽霊になっていく車たちの陰で、本当の私はコースに出ていけなくて、ずっと車庫に閉じこもっていました。


 月日は容赦なく過ぎていきます。昔からの友人たちは試行錯誤しながらも、どんどん走行距離を伸ばしていきました。私はみじめでした。 でも、暗い車庫に一人でいることに、いつのまにか安心感も覚えていました。


 去年4月、環境ががらりと変わる出来事がありました。 私は知らないミニカーたちの中で、知らない空間で足並みをそろえなければならなくなりました。

 でも、私はその状況に驚くほどすぐ適応しました。 壁に何度ぶつかっても、難なく方向転換して走り回れるようになっていました。 もちろん同じ車で。

 とても不思議な感覚でした。 私の人生はもう大丈夫だと確信しました。

 車庫での日々もすっかり忘れていました。


 しかし今年になって事態は急変しました。それぞれのミニカーが、自分の走るコースを決めなければならない時期に入ったのです。 みんなはサッと車列から離れると、自分のコースを探してバラバラに進み始めました。

 私も最初のうちは熱心でした。でもほどなくしてひとり、路肩に止まってしまいました。


 一体どこに進めばいいのかわからないのです。


 昔ならとうに幽霊になっている頃です。徐々に、また車庫にこもるようになってしまいました。

 一生同じところを走り回るミニカーのままでいたい。でもそれは現実的な話ではありません。

 消えることだけはしちゃいけない、とぶつぶつ唱えながら、ある日は車庫で、ある日は徐行運転の日々を過ごしている今日この頃です。


 私のコースにはまだ濃い霧がかかったままです。でもいつか必ず、自分だけの道を胸張って走りたい。それまで、何とかエンジンを持たせられるように頑張ろうと思います。


 長文、乱文をここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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