第9話 【 紅い記憶の闇 】
“ それを一番よく理解しているのは風馬自身であろう ”
(桜花)
「 …─── あの子の人生をこんな形で縛り付けてしまった。将来の生活ができると言ってもいつ死ぬやも知れぬ与えられた命令には異議も許されない監視下に置かれてゆくこれからの生き方では、あの子の願うものとは持たせてやれないのか… 。」
重い表情に桜は首を横に振った。
(桜)
「 ……あなた… 先代様もみんな、あぁは仰っていたけれど… 私達があの子に手を差し伸べたことは何も間違ってなどいません。」
「 風馬は、…あの子は誰が何と言おうと私達の大事な子です。」
あの時、
自ら命を絶とうとし本当の父親の罪を、全てあの子が背負ってしまったものを今度は私達が、
「 責任を持っていつか、本当の安寧を築ける時代を実現させてあげることが私たち親のしてあげられる事だと思っています。」
(桜)
「 風太と何も変わりません。里の子達もみんな同じ愛情を受け、血で推し量る事などあっていい筈がありません。」
「 あなたの風馬への思う気持ちは、あの時..名を与えたあの子にそれを証明したではありませんか。」
“ 今はまだ歴史の血は…この子達兄弟、異なる家族である絆がいつの日かきっと ”
「 風人である事や和国を成立させる朝廷との争いの傷跡が癒える日が来ると、私は子供達を信じています。」
(桜)「 何があっても貴方ならきっとみなも分かってくれているはずです。」
(桜花)
「 ────.. そう 偽りの無いお前の言葉だから…… 」
何があってもこれまでずっと信じていられた。
“ ありがとう、桜…。”
(風馬)「 ……。」
(偶然居合わせ二人の話を聞いていた)
“ 父上…”
“ 母上……。”
「 ────..。」
(強く何かを決意する)
(先代)「 よいな、風馬。」
(風馬)
「 心得ております。……、」
“ … あにうえ ”
(寂しそうな風太)
“ またおやくめにいっちゃうの…? ”
(風馬)「 …… 風太 . . 」
しばらくしたら、
すぐに帰ってくるから・・。
“ 父上と母上を 困らせちゃだめだぞ ”
(風馬)
「 ッ!」
──────────…。
(体の震えを抑え込む腕がギュッと締まる)
うなされ、体中冷や汗がふつふつと顔の皮膚から浮き出てくる。
意識は起きていた。
だが、風馬自身が今見ている夢は現実に覚めている感覚が無い見えない何かに苦しめられているようなそんな感じだった。
……………………、
(足音)
ヒタ……・・、 ヒタ… ヒタ・・・。
“ 風馬…。”
(隙間風) ヒュルッ!
(障子)
「 カタカタ…ガタッ!」
“ 風馬… 。 ”
(風馬)「うぐ…っ!」
(風太)
「 ……、あにうえ?・・??? …………、」
パサッ、(ふすま布団)
(勇真)「 ふうにぃ? 」(勇真も起きてしまう)
“ 風馬… 。”
(風馬)「 ( 何で… どうして俺に付きまとう ) 」
“ お前は・・ ”
(闇の魔の手が襲いかかる)
「 !! 」
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