第8話 【 偽りの抗えない血 】



(風馬)「 ………。(染み付いた人の血痕の匂いが消えない…。) 」




血は洗い流せても



人を殺めたあや匂いは…





(顔の水滴)

ポタ. .


  ポタ. . . 。



(風馬)「 …… 」





“ 抗えない血…。”




(???)

“ 紫苑。”




(桜花)


“ 風馬. . . あの子は、過去を清算した身とはいえ、【朝廷の血を引いている者】 である以上 先代の監視下に置かれることになる。”



“ それだけ風人とヤマトの間で起きた戦争の歴史は、血を引いているだけでも充分な争いの元になる。”


(桜花)

「( この条件を飲まねば二人を一緒に置けないとは…… ) 」



「 あの子に罪などないのに…っ 」






“ 何故ですか!? ”



(当時の桜花)

「 … 確かに 裏影は、朝廷の動きを暗躍に殲滅させる戦務を主流に風人を厳選した特殊な遂行部隊です。」



(桜花) 「 ですが、あえてそれをあの子に強要に殺せと…!? 風人であるならいざ知らず、対立の出生を理由に過去の足かせを更に増すばかりか風馬は、血を否定されながらこの先の可能性を… こちらの戦いの道具に引き入れるなど」


「 都合が良すぎる!」



(桜花)「 これでは、子供達の未来を一方的に潰させる。」



「 貴方の考えは……… 」


(桜花)

「 認められぬ。 人ひとり血の出生、どのような深い事情を抱えようが、迫害するような意思はたとえ先代でも…っ! 」



「 貴方は… 本気でそんな事をこの子の前で言えるのですか!?」



(先代)「 事情の違いだけが特別扱いなどもってのほかだ! お前のために言っている桜花。」



「 それにこれは諸国全体の存続にも大きな影響が及んでくる。お前は個人的な感情に流されて一人の人間の為に長たる者がまとめ役を預かるみなの命や身の上を危険に晒すつもりか。」



“ 本来、お前はあの子の父親ではない。風馬とて、異なるその意味を抱える父親である以上に長である事を自覚しろ。”



(先代)「 でなければ、お前に一族の長を背負う資格はない。」



(桜花)「 …っ!」



(白老)「 耐えよ、桜花。そなたの言い分も分かるが、先代の意見は最も一理あるんじゃ。」



「 風太が生まれたことにより、ようやく我ら一族の衰退した神の血の保有者が実に数百年ぶりに風術を復活させたのだ。今度こそ慎重な守備に固めるのは当然のこと。何が起きてもワシらは風太を守らねばならん。」



「 それだけ両国の間に起きた思想の争いはそう簡単な問題では済まされないのだ。」


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