第5話 【 幼い日 】
(勇真)「 みてみて!とんぼ!! つかまえた!」
(風馬)
「 ─── . . ほんとだ、いっぱいいるな。勇真、その辺 石が多いからよく見ないとコケるぞ。」
目を離すと危なくつまずきそうだったので自然と手を繋ぐように風馬は促すが、
収穫した荷物が少し重たそうなのか重心が傾くたびに揺さぶり上げていく。
それをみた勇真は少しやりたげな目で
(勇真)「 ふうまにいちゃん、ゆうがもつ。」
(風馬)「 …? これ重たいぞ ほら、」
ダメとは決して言わず
ほとんど減らしてみるが、まだ幼い4歳児の勇真には当然持てるはずがなかった。
(勇真) 「 ─── …ッ!」(←本人は必死だけどやっとの思いで結局ひきずる)
(風馬) 「 勇真、ひきずってるぞ。(笑) …袋破いたらもう替えがないからそれは兄ちゃんが持つよ、な?」
(勇真)「 んんっ… 」
代わりに持とうと手を出しかけたが、
袋が気に入ってるのかどうしても離さない勇真。
「 ………。」
(風馬)
「 袋…? あぁ、なんだコレだったのか。わかった、分かった。いいよ、瓜は他の袋と一緒に入れてやるから。…ほら、」
結局、麻袋を空っぽにしてやると抱きしめたまま満足げに表情が喜んでいた勇真だったが、風馬はやれやれと片方の肩に担いでいた小豆の袋を重たそうにもう一度揺さぶった。
そして家に帰り着いた時、庭の縁側の方で風太が自分の服に何かをしている姿が見えた。
(風太)「 ── . . 」
(風馬)「ん?」
(勇真)「 ! ふうにぃ!! 」
(風太)「 ……、 勇真? !あっ、ダメッ!今針使ってるから。あぶないの! 」
(風馬)「 風太、先に帰ってたのか。…? 」
(勇真)
「 ふうにぃ、ふくやぶいた?ほら! 」
(風太)「 !? こらっ!勇真っ返せ!!あっ.. あにうえ・・、おかえりなさい。…………。」
(結構雑な縫い目)
「 ・・・・・。」
大体察しがついたのか一目見て風馬は呆れたように荷物を地面に下ろした。
(風馬)「 全く、しょうがないな。服ちょっと見せてみろ、……これか。木の枝に引っ掛けたな? 」
(勇真)「 ふくだいじなのにふうまにぃちゃんにおこられるんだー! 」
(風太)「 ちゃっ.. 、 ちゃんと直すから・・・出来るよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます