最初の候補その1

 どうかな?サロンはシアタールームも兼ねてるんだ。その気になれば上映会だってできる。

 まあ、今回上映するのは映画ではなくスライドショーになるけどね。


 ジェネラルが気になるかい?あいつはほっといて大丈夫。忘れた頃にサロンに戻ってくるさ。

 ジェネラルもそうだが、キャプテンもシャイなものでね…。

 不愛想に感じても、あまり責めないでやってくれ。


 さて、最初に紹介する異世界だが…これだ。


 一面の真っ青な景色だが、これは空や海を映している訳じゃない。地上の写真なんだ。

 この世界は植物も動物も、生物の大半は青いんだ。それは人類とて例外じゃない。


 だが、決してどれも同じ青で統一されている訳じゃない。青は青でも、それぞれ違った青色を持っている。

 赤とか緑とかは滅多にお目にかかれないが、これはこれで奇麗だろ?一見色彩に乏しい世界に見えるが、よく見てみると違いが豊富にあるんだ。


 夜になるとまた景色が一変する。

 暗くなると、動植物が微かに光るようになるんだ。この光景はアクアリウムの中を歩いていると思い込みそうになるだろ?


 こういう奇麗な場所に限って生身で入ることはできない…と、思ってたりはしないかな?安心してほしい。

 ここは君のような体でも生身で平気だ。それにここの人類は気性が穏やかなことが多くてね。人里にいる内は安全と言っていい。


 まーでも、ここの食べ物は食べない方が良いな。確実に腹を壊す。当然原因はこの青さにある。

 だが、この青さは当人たちにとってはミトコンドリアのように生きるのに欠かせないものなんだ。この青さのおかげで、高い身体能力を持つことができている。


 それは人類に限ったことじゃない。危険な猛獣だって同じだ。奴らの攻撃を食らえば、体の一部など容易く持っていかれるだろう。ここがこの世界を旅行する上での懸念点だ。


 現地人たちはそんな猛獣らの攻撃を食らっても何とか生き延びていることが多い。それは医療技術に優れている、というよりは彼らの高い生命力のおかげだろう。

 体の一部が欠損している者はこの世界では珍しくはない。だが君の世界の健常者よりは間違いなく優れた運動能力を持っている。

 この世界は障害者に対する気遣いの意識は薄い。必ずしも気遣う必要が無いからだ。


 そういうことを聞くと非情な世界に思えるだろうが、さっきも言った通りこの世界の人類の大半は温厚だ。異世界の人間でも歓迎してくれる。義肢をデコレーションしてたり、結構人生エンジョイしてるからな。

 ただし、猛獣だろうと侵略者だろうと外敵が迫れば毅然とした態度で応戦してくる。腕に木材を取り付けただけの簡易的な義手持ちでさえも敵からすれば厄介な存在だろうね。


 …とまあ、これが世界ナンバー242の世界だ。文明レベルは一番発達している所で中世に入ってるかどうかってくらいだが、現地の協力を得やすいことも含めての候補入りだ。

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