第10回 戦闘民族、日本人

 今回は、やっと私の得意分野というか、元々大学時代に勉強していた時代の紹介になります。


 今の平和ボケしまくっている日本では考えられない、それこそドラゴンボールの「サイヤ人」みたいな状態だった時代、それが「戦国時代」の日本です。


 まあ、何しろ1467年の応仁の乱以降、100年以上、いや大坂の陣が1615年に終わったので、およそ150年近く、ひたすら国内で戦争ばかりやってたわけです。


 戦国時代の発生というのは、色々な定義や説があるのですが、まあ、早い話が「中央の秩序」である、「室町幕府」の権威が失墜したのが、原因なわけです。


 つまり、中央の統制が効かない状態なので、地方の領主(守護や守護代など)たちが好き放題やったというか、勝手に地方を収めた、のが正しいわけです。


 「天下布武」を掲げて、天下統一を目指した、織田信長が出て来るのが1560年代頃。


 つまり、応仁の乱からおよそ100年。そんな統一なんてものはなく、ひたすら全国各地で血みどろの戦いが行われ、部下が君主を討つ下剋上やら、兄弟や親子で敵同士になる、骨肉の争いが行われたわけです。


 そして、ここに非常に興味深いデータがあります。


 「戦国時代の日本の鉄砲の保有数」です。


 鉄砲が日本に伝わったのは、1543年。有名な「種子島」にポルトガル人が伝え、それを種子島の領主が興味を持って、買い取って、部下に造らせたのが最初だった気がします。


 この辺り、「物作り」の才能に関しては、日本人は本当に器用で、すごいと思うのですが、当時、もちろん「鉄砲」なんて見たことも聞いたこともない日本人。

 当然、扱える人も仕組みをわかる人もいないわけです。


 それを、色々と試行錯誤した上に、ついには国産の鉄砲を造り、量産できるまでになります。


 鉄砲の産地としては、堺(現在の大阪府)、国友くにとも(現在の滋賀県)あたりが有名でした。


 そして、当然ながら、全国各地で戦いに明け暮れていた、戦国大名たちは、こぞってこれを欲しがったわけです。


 有名なのは、織田信長で、先見の明があった彼は、この鉄砲に早くから着目し、多数の鉄砲を購入。部下に鉄砲を扱える者まで雇って、練習していたとか。


 ちなみに、有名な「長篠の戦い」。あれで織田軍が「鉄砲三段打ち」をやったとされてますが、実は近年の研究では、あれはなかったんじゃないか、などと言われています。

 ただし、織田軍に3000挺の鉄砲、武田軍にも500挺の鉄砲があったことがわかってます。


 それでは、本題の戦国時代の鉄砲保有数ですが。


 驚くべきことに、正確にはわからないものの、これが「30万挺」とか「50万挺」と言われています。

 なお、同時代の1589年。イギリスがフランスに軍を派遣する時、イギリス全土からかき集めた鉄砲の数は、「1100挺」だったそうです。


 織田軍だけで、イギリス軍の3倍近くの鉄砲を保有していたのです。


 鉄砲伝来からわずか30年足らずで、日本国内の鉄砲数は爆発的に増えたことになるわけです。もちろん、ほとんど全てが戦いに使うためです。


 言わば、そんなバーサーカーのような、戦闘民族だった、戦国時代の日本人。


 当時、イスパニア(現在のスペイン)が、宣教師を派遣し、密かに日本を調査し、布教をしつつ、いずれ植民地にしてやろう、と計画していた、という説もありますが。


 では、実際にスペインが日本に攻めてきた、としても、恐らく余裕で日本が勝っていたのではないでしょうか。

 それくらい日本の鉄砲の保有数は、ダントツで世界一という「鉄砲国家」が日本だったのです。


 ちなみに、豊臣秀吉の朝鮮出兵(1593年~1598年頃)。

 そこでも鉄砲は活躍し、明軍や朝鮮軍にも鉄砲はありましたが、保有数や質が全然違ったそうです。


 日本軍は、そもそも100年以上戦ってきて、「戦慣れ」してますし、鉄砲の扱いも慣れてます。

 なので、明軍も朝鮮軍も、散々苦戦したんだそうです。


 ということで、今では想像もできないかもしれませんが、戦国時代の日本人は、恐ろしい「戦闘民族」だったのです。


 なお、太平の世、江戸時代においても全国で「5万挺」の鉄砲があっただろう、と推測されているとか。


 現代の平和ボケしまくって、大陸やら半島にイジめられているような日本とは同じ国とは思えないくらい、当時の日本はすごかったんですが、まあ、言っても「侍」が支配していた時代ですからね。


 武士たる物、強くなければ、と「武」が奨励された時代だったのは間違いないわけです。

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