第4話 スキル『ゾンビ』が凄すぎる

殿下・・、今です!」

「ゴブゴブッ、ゴブゴブッ!」


 藤崎さんが、ゴブリンの両腕を掴んで動きを止めていた。

 僕は、後ろから近づく。


「ゴブゴブッ!」

「親方様、どうしたのですか!? 早く!」

「は、はい!」


 ゴブリンの首を見ると、凄く汚れていた。いや、当たり前か。

 多分風呂も入ってないんだろう。

 凄く抵抗があったけれど、そうはいってられない。


 僕は、勢いよく噛みついた。

 すると魔法のエフェクトが光る。


 不思議な、与えている・・・・・感覚。


【 部下を手に入れました。レベルが上がります】


  主。

【 名前 】 霧島 真悟

【 スキル 】 ゾンビ・・・

【 レベル 】 3

【 力 】 3

【 魔力 】 3

【 部下 】 2人

【 手に入れたスキル・・・ 】 光耐性、身体強化(弱)


 部下。

【 名前 】 ゴブリン

【 スキル 】 身体強化(弱)

【 レベル 】 1

【 力 】 5

【 手に入れたスキル・・・ 】 自己再生能力、強依存。


 自分のステータスと、ゴブリンのステータスを確認。

 ゴブリンの力が抜けていったらしく、藤崎さんが抑え込むのをやめた。


 当然だが、僕とゴブリンは初対面だ。


「ゴブリン、の事はどう思ってる?」

「ゴブッゴブブッ」

「……なるほど」

主君しゅくん、ゴブリンさんは何て言っているんですか?」

「ご命令を下さいと言っているよ。どうやら使役はするけれど、元々の僕への好意があるかどうかで変わるのかも」

「私と違って愛が足りないのですね」

「そ、そうかもね」


 部下にすればスキルも得られるらしい。上限はないのだろうか。

 それならば、とんでもないスキルじゃないか……?


 唯一のデメリットは藤崎さんのおかげで問題ない。


「ゴブッゴブッ」

「わかったわかった」

「マスター、ゴブリンさんはなんて?」

「どんどん部下を増やしましょうだって。僕たちの言葉がわかってるみたいだね」


 名前はゴブ一号にした。続けて二号、三号と噛みついてゾンビ化させた。

 身体強化は(中)になった。


 そして驚いたのは、僕が強くなると藤崎さんも強くなっていたことだ。

 初めは一人でゴブリンを抑え込むので精一杯だったけれど、最後は腕一本だった。


 ただ、僕は少しその恩恵が弱いらしく、少し力が強くなっただけだった。


 ただその分、多くの仲間を増やせる、ということだろうか。


「ゴブゴブッ」

「ありがとう。美味しいよ、このお肉」

「本当美味しいです。ゴブ二号ちゃん、ありがとうございます」


 夜になり、ゴブリンたちが寝ている洞窟を教えてもらった。肉まで焼いてもらって、暖を取る。

 風呂に入りたいが、ゴブリンたちにその習慣はないという。

 川はあるらしいが、夜は流石に冷える。


 するとそこで、ゴブ三号が藁で作った毛布を持ってきてくれた。

 何と優しいのだ。


「ゴブゴブッ」

「わかった。ありがとうね」


 僕たちが眠りにつくとき、ゴブリンたちは狩りにいくという。

 朝ごはんを取って来てくれるそうだ。ちなみに肉は人間ではなく、鹿肉だったので安心した。


 藤崎さんと僕は好意に甘えて眠りについていた。

 すると――。


「霧島君」

「え、ふ、藤崎さん!?」


 僕の毛布に、いつのまにか彼女が潜り込んでいた。

 な、なにを――。


「命を助けてくれて、本当にありがとうね。おやすみなさい」

「……ああ」


 ……絶対に許せない、あの国の連中。

 そして、権蔵もだ。


 それからうとうとして、ようやく眠りに付けそうだと思っていたとき、アナウンスが聞こえた。


【ゴブ一号が敵を倒しました。経験値を取得しました】


【ゴブ二号が敵を倒しました。経験値を取得しました】


【ゴブ三号が敵を倒しました。経験値が規定値を上回ったので、レベルが上がります】


 突然の音声で起こされる。


 ステータスを確認すると、僕のレベルが上がっていた。


【 名前 】 霧島 真悟

【 スキル 】 ゾンビ・・・

【 レベル 】 5

【 力 】 5

【 魔力 】 5

【 部下 】 4人

【 手に入れたスキル・・・ 】 光耐性、身体強化(中)


 もしかしてゾンビ化した部下が敵を倒せば、僕に経験値が分配されるってことか?

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