第一章 懺悔室バイト初日に皇帝陛下が懺悔に来ました②
帰りたい……。
その一、懺悔者が一通り話し終えるまで、
真摯に。真摯に耳を傾けなければ。
「俺は……その、多くの部下を指揮する立場にいまして。裏切った部下は見せしめとして殺して
あのね神官様、私、懺悔室の聞き手を引き受けた時は、もっと軽い懺悔が来るんだと思ってたんだ。「ママの大切な
まさか帝国の権力争いで
時給が
「な、なるほどー……」
「多くの部下を指揮する立場」と、
ただの通りすがりの青年の懺悔として(いやただの通りすがりの青年だとしてもこの内容には白目を剥くけど)、真摯に、真摯に話を聞くんだ。
職務放棄の
平気で
「裏切り者には
やはり淡々と語る声に感情は見えないけれど、それは人に聞かせる声だからだろうか。こちらから見えていることを知らないその顔は、ひどく暗い。
「シスター。多くの命を
「……」
血染めの
それは、血も
私は今この国で、のほほんと暮らしている。本当に好きで人を殺し回るような人が治める国だったなら、きっとこんなに平和なわけがないのだ。
かつては方々の領地で争いの絶えなかったこの国が安定したのは、彼が皇帝の座に就いてからだという。
「陛……、ん、んん、あなたの行いを、神は
手引き書の二つ目の
その二、懺悔者を
「裏切り者には厳罰を、それは国民全てが知っている帝国の方針です。指揮する立場の者がその方針を
全肯定するぞという職務の気持ちと、そうするだけの理由がある彼の行いを断罪する気にはなれないという個人的な気持ちを、できる限りシスターらしい口調で述べてみた。
ちらりと
あれ。なんかまずいことを言ってしまったかもしれない。皇帝相手に
降りた
「シスターは
よかった。気分を害したわけではないようだ。その声は懺悔を口にした時と比べて
「いえいえ、私は神の
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