プロローグ③
***
「~~ッッ!!」
目を見開いた私の瞳に、見慣れた
──何かしら、今の夢。
夢というにはあまりにも生々しく、どくどくどく、と心臓が
いや、夢である
いつの間に牢から部屋へ移動させられたのだろう?
全く
私が頭を押さえながら周りを見回したタイミングで、
「はい」
私の返事を受けて入室してきた
「おはようございます、レア王女殿下。お水はいかがですか?」
「ありが……」
お礼を言おうとして、水を持ってきた侍女の顔を
「レア王女殿下? ……
「どうかなさいましたか?」
「……ロッティ?」
「はい、レア王女殿下」
にこにこと笑っていたのは、私の目の前で首を
「ロッティ……」
私がそろそろと手を
「レア王女殿下、お加減が悪いのですか?」
「いいえ、大丈夫よ。ごめんなさい、少し考えたいことがあって……一人にさせて貰えるかしら」
混乱する頭を抱え、
私の手を包み込むロッティの
「はい、
再度心配そうにこちらを見ながら、それでも私の指示に従い部屋を出るロッティ。
改めて自分の
花にぬいぐるみにアンティークのオルゴール。部屋の一角には異国
しかし、そんな感傷に
「どういうこと……?」
自分の両手を見た。頭を押さえた時と、ロッティに手を握られた時に覚えた
自分が母から愛され、父と義弟と、これからもずっと幸せな家族でいられると信じていた頃に。
「なぜ……」
姿見を見ながら、目の前の自分に手を伸ばせば、鏡に映る私も、
「戻っている……死ぬまでのことは、夢だったの……?」
そう
夢などではない。母に
何が原因で、時が逆行したのかはまだわからない。けれども、今の私が強く思うことはただひとつだ。
私は鏡に
──もう、
強く心に
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