プロローグ②
「フィリオ陛下、そろそろ……」
上衣の
見覚えがある気もしたが、遠い過去に思いを
わかるのは、この国の代表を
義弟の手にした剣が、私から奪い去った国宝の聖剣でもないことに
瞬間、私の身体は意思に反して震えた。
王座を求めた者らしく
「義姉上……」
「!?」
フィリオが、私の身体を起こして片手で
「ああ、
同じことを思ったらしいフィリオが私にしか聞こえない声で囁く。
フィリオの
そして、ずっと胸に
「ねぇ、フィリオ。フィリオはなぜ三年前、私を殺そうとしたの? 私を裏切った理由だけ、教えてくれないかしら」
最期の質問は自分でも
それに気づいたらしいフィリオは一度私と
「……三年前? 私が、義姉上を裏切ったとは?」
「とぼけないで。フィリオが私の暗殺を試みたことはわかっているの。けれども、フィリオに嫌われてしまった理由がわからなくて。知りたかったけれど、ずっと聞けなかった」
「お待ちください。義姉上はなぜそのような誤解をなさったのですか?」
フィリオは
私はスッと視線を逸らすと、その
なのに、フィリオの
「フィリオがそんなことしなければ、私は……いいえ、それはもういいの。けれども、理由が知りたくて」
私なりに、フィリオを可愛がっていた。その
「義姉上、それは……」
フィリオは考える
「陛下。もうとっくに時間は過ぎています」
「くそ……っっ」
最期まで、フィリオが私を裏切った理由を聞くことは出来なかった。そう思いながら、覚悟を決めてもう一度
フィリオは私を引き寄せ抱き締めると、もう片方の手で
「義姉上……信じて
「……」
王となった今、フィリオは重たい
──おかしい。この長さの剣では、私だけでなく……!!
先程剣を見た時覚えた違和感が
「陛下!」
フィリオを押し
ゴフ、と私とフィリオの口から、大量の血が同時に
「陛下! フィリオ陛下!!」
「
周りの人間の声が、ずっと遠くで聞こえる。
私の目に、フィリオのサラサラとした
「なぜ……フィリオ……」
なぜ、
それとも、フィリオの先程言い放った言葉は真実だったのか。
「レア……て、います……」
私たちは、フィリオが手にした剣により二人
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