プロローグ
「……
「っ……!」
ゴロゴロ、と転がって止まったソレと視線が合い、私は
──
義弟は私の恋人だと
私とその生首の間にあるのは、利害関係のみだ。
私は王座が欲しく、彼は私という後ろ
「私は今まで、
義弟がポツリと
「いいえ、
なぜ、こんなにも
義弟は私が
私は、
「私が欲しかったものは、
いくら努力しても、目の前の男に私は引き
「いえ、私が欲しいと願ったものは、昔からずっと、ただひとつです」
「……私だって、欲しかった物はずっとひとつ、その王冠だけだったのに」
あの王冠は、生まれた
「果たして本当に、それが義姉上の欲しかった物でしょうか?」
義弟にじっと見つめられ、私は視線を
今となってはこの、何もかも
「当たり前でしょう」
「こんな物が欲しかったなら、いくらでも差し上げたのに。義姉上が私に、お願いをして下さったなら」
義弟にそう言われ、ぎり、と
それが
王たる者、
「もう、これ以上話しても
私にも、
義弟に泣きついてまで、手に入れるべきものではないのだ。
私は女王になる
この勝負、義弟が勝ち、私が負けただけ。
きっと、義弟が現れた時点で決まっていた。
それを、私も母も、受け入れられなかっただけ。
「……昔、義姉上は私にとても
義弟が昔話を始め、私はただそれを聞いていた。
そんな時代もあった。
目の前の義弟が
彼を悲しませるものから遠ざけ、その
そして、私に対する母の愛情を、本物だと信じていた……時代が。
「もう一度聞きます。義姉上が本当に欲しかったものは、これですか?」
義弟は頭上の王冠を無造作に外し、
義弟にとっては本当に、なんの価値もない物なのだろう。
ずっと欲しかった物がそこに転がっているのに、後ろ手に
ああ、すみませんお母様。お母様から何度も何度も、小さな
そんなことをつらつらと考え
「義姉上。もうこの世に、その王冠を貴女に強制するあの女はいないのですよ」
「あの女、とはお母様のこと?」
私は義弟を再び睨んだ。
けれど、そんな私の視線など気にすることなく……いや、むしろ私が顔を上げたことに喜びすら
「ええ、そうです。義姉上を死ぬまで支配し続けたあの女は、貴女を愛していませんでした。愛していたのは、自分の思い通りに動かせる、女王となる
「口を
「義姉上……貴女は間違えました。愛を
「フィリオ、それ以上余計な口を
私は後ろで縛られた手にぐっと力を込め、
それを片手で制しながら、フィリオは
「義姉上が本当に欲しかったものは、こんな物ではありませんよね」
「あっ……!」
私の目の前で、フィリオは王冠を
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