本人
人は死ぬ。
ある地域の寓話だというのだ。
その地域では、死んだ人を蘇らせる秘法があった。
まず、生きている人を5人、死んだ人に対して縁もゆかりも深い人を選ぶ。
その人たちを並べ、縛り、祝詞を捧げて首を斬る。
体を逆さづりにして揉んで、全員の血を抜き取り、死んだ人の頭蓋骨に注ぎ込む。
そうした後、粘土で体を象って頭蓋と共に三日三晩誰にも見つからない場所に隠しておくことでその人に肉が付き、蘇るのだという。
この物語はここで終わりだ。
怖ろしい話だろうが、それは別に人を殺すからではない。
知人の血液で満たされたその人は、本当にその人なのだろうか。
血は魂の情報だというのを何処かで聞いたことがある。
しかしながら、その血で満たされた本人はただの本人の情報しかない傀儡でしかないのかもしれない。
他人の情報に寄って象られた本人は、果たして本人なのだろうか。
噂では、この秘法は何処かの村でひそかに行われていると聞いた。
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