第一章⑨
***
大聖堂から王宮に
「今日はずいぶんと
向かいに座ってジッとソーンを見ていた青年が口を開く。ヴィーセリツァという名の
ヴィーセリツァは
けれど、送り
「歌の練習はいつも通りだったんですけど、今日はキリルっていう子と仲良くなれて、僕らは友達になったんです。僕と同じパートで、歌がすごくうまいんですよ。今まで一度も話したことがなかったんですけど、僕がちょっと困っていたら助けてくれたんです。それで、キリルに
ニコニコしながら話をしていたソーンは、「あっ!」と自分の口を手でふさいだ。
「つまりは、勉強会をサボって新しくできた友人とやらとしゃべっていたわけだな」
ヴィーセリツァは聞き
「勉強会も大事だってちゃんとわかっているんです。でも、今日はキリルとお話をしていたくて。初めてできた友達だったんです。友達を作ることも大事なことだって、ジェニトさんにも言われていたから。
ソーンは「兄様に
「
厳しい口調で言われたソーンは、「は、はい!」と背筋を
「だが……同世代の者と、人間関係を
「でも、僕が勉強会に出なかったことを知ったら、兄様はがっかりするかもしれません」
「そう思うなら、反省の意を示すために自主勉強に
「魔術基礎理論を十回も!? 戻ったら、大急ぎでやらないと。それに、今度はちゃんと勉強会にも出ようと思います」
ソーンが真剣な顔をして答えると、「ああ、そうしろ」とヴィーセリツァが満足そうに頷く。窓の外に目をやると、大通りの先に王宮の
#コンパス 戦闘摂理解析システム アダム&ソーン 蒼の兄弟 ~うたかたの幻獣~ 著/香坂茉里 原案・監修/コンパス 戦闘摂理解析システム/角川ビーンズ文庫 @beans
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