何でもありの紋様
色々とスキルによって判明し、これからのこととか時々抜いてくれるとか最高の気分に浸っていたというのに、まるで冷や水を浴びせられたような気分にさせられた。
教皇が発した“神に等しき力を持った男”の情報を求むという言葉、それがほぼ全ての国へと発せられたからだ――どうして今になったこんな言葉が発せられたのか、そしてこの男は誰なのか。
「確証はないけれど、間違いなくカズキさんでしょうね」
「おそらくそうでございましょう」
「間違いないっすね」
「えっと……これは俺なんですかね?」
正直なことを言えば、俺自身も自分じゃないかと直感があった。
別に自分のことを神のような男だと思ってないのは今まで通りだし、もしもこの力が神に等しきモノだとして教皇に求められるのは当然のように願い下げだ。
「大丈夫よカズキさん」
「っ……」
不安よりも驚きが強くて呆然としていたのだが、セレスさんや他の二人には俺が不安を抱いているように思われたようだ。
俺を安心させるようにと胸元に抱きしめてきたセレスさん。
「たとえあの街がどのような声明を出そうとも、ましてやそれによって何かが起こったとしても、私たちはあなたを手放したりはしない。何があっても必ず守るわ」
「セレスさん……」
「カズキさんは、私たちの知っている男性とは違った。もしかしたら今まで以上に過保護に思われることを情けないと考えてしまうかもしれないけれど、どうかそれを悪い方向へ考えないでほしいわ」
他の男と違うからこそ、セレスさんの気遣いの垣間見える言葉だ。
俺としては戦えないクソ雑魚だから守ってもらう必要があるし、彼女たちに齎せる恩恵としてスキルがあるけど、それは俺に運よく宿ってくれたもので結局は偶然の産物だ。
「お守りいたします――必ず」
「ま、それは変わらないっすよ♪」
セレスさん同様に、安心させてくれる笑みでそう言ってくれるニアさんとメルトさんも凄く心強い。
(この世界で女性にチヤホヤされたいとか、エッチなことやりまくりたいとかそういう欲望はなくならないし自重しようとも思わない。でもどうせなら強い力を持って無双するのも格好良くはあるんだろうけど、流石にそれは贅沢な悩みって奴だ)
きっとそういう世界もあったんじゃないかって思えるけど、今の俺にとってはこの世界でのことが何よりも大事だ。
そこからはずっと、話し合いの中でセレスさんは俺を離さなかった。
緊張感のある話し合いの中で胸に顔を埋めている俺も、たぶん今までに見たことがないほどに固い表情をしていたはずだ。
(……固いな)
セレスさんの左胸に頬を当てており、ぷくっと膨らむ固いアレにイケない気持ちになりながらも、一言一句聞き漏らさないようにしていた。
そして、昼過ぎにダークエルフの長であるオリエさんが来訪してきた。
ニアさんもメルトさんも居ない中での来訪だったが、もはやエルフとダークエルフの間に溝はないため、オリエさんがこうしてやってくることにセレスさんは何も文句はないようだ。
「……羨ましい限りだな。旦那様をそのように扱うなど」
「ふふん、私とカズキさんの仲だからよ」
「ぐぬぬ……っ!」
対面に座るオリエさんは、ずっと唇を噛むようにこちらを見ていた。
オリエさんが来てからまたセレスさんは隣に居た俺を抱きしめ、見せ付けるようにしているのも悪いだろうか。
とはいえオリエさんは俺に対して絶大な恩と借りを感じているらしく、基本的にセレスさんに対して上から目線で何かを言うことはないらしい。
「……あれから数日が経ったわけだが、我がダークエルフの国も見違えるほどになった。長年交流が閉ざされ、憎しみに突き動かされていたのが嘘のようだな……妾もそうだが、他の者たちもエルフに対して友好的な感情を抱いている。これが本来あるべき姿だったのだなと、今になって強く思うようになった」
「そうね……元々私たちは同じだったのでしょう。きっかけはカズキさんだったけれど、これからが新しい時代の幕開けとなるのよ」
「分かっている。旦那様には心から感謝しているし、セレスにもそれは同じだ」
和やかな会話が繰り広げられているが、俺にはきになったことがある。
「あの~オリエさん?」
「なんだ?」
「旦那様って……何なんです?」
「そう呼びたいのだ……ダメか?」
「い、いえ……全然大丈夫です!」
いやぁ、旦那様って初めて呼ばれたけどまるで結婚してるみたいだぞ。
オリエさんにその気はないだろうけれど、それでも凛々しいダークエルフの王が旦那様と呼ぶだけでなく、呼び方に不安を持つ不安そうな顔がとにかく可愛かった。
(これがギャップって奴か……凛々しくてエロくて怖い雰囲気も僅かにあるはずなのに、オリエさんがめっちゃ可愛いんじゃ)
でも、こうして仲の良い二人を見ていると胸が熱くなる。
そして何より想像してしまう――エルフとダークエルフの女王二人に挟まれる瞬間を、あの大きな双丘に両サイドから挟まれる瞬間を!
「それで、何も羨ましがるためだけに来たのではないでしょう?」
「もちろんだ――今回の教皇が発した報せは、どうやら彼が持っていた書物の伝説によるものらしい。今まで見つからなかったくせに何故今になってと疑問はあるが、そこに神の力を持った男のことが書かれていたとのことだ」
「そんなものが……ってなんでそんなことをあなたが?」
「ダークエルフにとって影に潜むことは容易だ。旦那様のマッサージと雨を浴びてからというもの、妾を含めてダークエルフの力が増したのだ。それで調べることが出来た結果とも言えるな」
セレスさんだけでなく、エターニアのエルフたちが俺の影響をモロに受けて力を増したことは既に聞いていたけど、やはりダークエルフたちもそれは同様らしい。
「以前と違う強力な力を手にしても、不思議と何かを仕出かそうという気は起きなくてな。今回の教皇の報せに関し、妾の中で旦那様に繋がったという理由だけで調べたに過ぎん。それ以上もそれ以下もないので、この情報以外に持ち帰ったものは何もないのだ」
「そうだったんですね……ありがとうございますオリエさん」
「っ……不意の礼は止せ。旦那様に嬉しくなる言葉を言われる度に股が濡れるのだ」
ちなみにオリエさんは、結構大胆で隠し事はしない性格なのでこんな風にあけすけに言ってきたりする。
とはいえこれから本格的に教皇も調査を開始するだろうし、面倒なことに変わりはないか。
(まあでも、これで俺じゃないってパターンももしかしたらあるかもだし少しは気楽に居て良さそうか?)
結局、こちらから何かアクションを掛けることはない。
そう考えたら変に気張ったりせずに、今の日々をリラックスしながら過ごすのが一番だ。
「じゃあ難しい話はここまでにしましょうか。対策などはもちろんちゃんと考えていくけれど、今すぐにどうこうってことはなさそうだしね」
「まあな。とはいえ妾たちの国に起きた奇跡が知られれば、間違いなく狙いは絞られるだろう。奴らが好んでこちらに訪れることはないだろうし、時間の余裕はたっぷりあるだろう」
オリエさんの言葉に、セレスさんは頷いた。
そしてまさかの展開が俺を待っていた。セレスさんがクスッと微笑んだかと思えば、こんな提案をオリエさんにしたのである。
「オリエ、私と一緒にカズキさんを挟むように座りなさいな」
「は……?」
「カズキさんはそれを望んでいるのよ。なんたって、私たち女性のことが大好きな優しいカズキさんだものね?」
「あ、はい……オリエさんにも挟まれたいです」
突然だったが、取り敢えずそう言ってみた。
オリエさんがみるみる内に顔を赤くし、体を極端に震わせながら鼻息荒く立ち上がった。
「そ、そういうことならば! 旦那様の要望には応えんとな!!」
少し歩けば届く距離なのに、わざわざ転移魔法を使って隣に座った。
「……どうすれば良いのだ?」
「言ってあげて?」
「っ……その、セレスさんみたいに胸を顔に押し付けてもらえると凄く嬉しいです」
人間、やっぱり素直に生きるのが良いんだな。
そんな遠い感情を抱きながら口にした言葉に、オリエさんは全力で応えてくれた。
「で、では!」
「お、おぉ……っ!」
クスクスと笑うセレスさんと、緊張した様子のオリエさんに挟まれる夢の空間が実現した。
右からも左からも大きくて柔らかない物体を押し付けられ、これ以上ないほどの幸せな瞬間……もちろんこうされるだけで満足出来るわけなく、嫌に思われないと分かっているからこそ実際にこちらからも手で触れて揉んでみた。
「ぅん……っ♪」
「あんっ♪♪」
柔肉に指が沈み込むと同時に、紋様がセレスさんとオリエさんの体に現れて光を放つ。
(……エッチだ)
露出の多い服装だからこそ見える下っ腹部分に浮かび上がった紋様。
最近はどうもそれがやけにエロく感じてしまうことも増え、もう何でもありだなと苦笑するのだった。
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