第8話 あの頃には、もう二度と戻れない

数十年後…


あの水没都市の水位が徐々にではあるが、少しずつ低下してきている。完全に水が引いて、以前の水没シティ(水没した街の通称名)の状態に戻るにはまだまだ時間がかかるとされている。そうなれば、水没前まで走っていた電車やバスといった交通手段が復活するかもしれない。


もちろん、以前の水没シティと同じような生活はもう出来ない。建物はほとんど水に流され、電柱は折れて、電線は真っ二つに切れている。橋には多くの土砂と流された家屋の残骸が柱に付着しているのが分かる。橋そのものが無惨な状態になっているところもあった。地中に埋まっている水道管もおそらく水圧によって破損して使えないだろう。


また、水位が低下したので濁りが目に見えてよくわかるようになった。少し高い場所は完全に水が引いたものの、かつての市街地は低かったのでまだ水に浸かっている。


水没の原因は単に「異常すぎる大雨」で排水の処理能力を大幅に超えて、水没シティに水が侵入してしまい、沈んでしまった。と考えられている。


もう二度と、あんな目には遭いたく…ない…

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水没都市 @noritaka1103

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