第33話 誕生日の出来事

マスタールームに入るとアシッドスライムの時にレベルが上がりマスタールームにて私は魔力を使って部屋の家具を変更したり出来る様になった為に、今はギルドの大人用の事務机ではなくてマスタールームには少し低い私サイズの机が置かれ無機質な壁にはパルケ子爵家の方々が使っていたこの集落周辺の地図を魔力で作り出して貼ってある。


見た事のある書類を作れる簡易化された記録スキルと、レベルが5になって唯一解法された〈模様替え〉という能力を融合させる事により、私のイメージした家具や掲示物などをマスタールームに設置出来る能力である。


ルヴァンシュ様からの説明書では、


実際ダンジョンではマスタールームという管理室は勿論であるが、ダンジョンの階層すべてに山や川や森を配置するダンジョンクリエイトという能力を物凄く簡単で弱くした実験機能らしい。


本来であればダンジョンポイントなる物を使うらしいのだが、世界を蝕む悪意が混じった強い大地の力から悪意だけを魔物に移して冒険者に討伐させて浄化するなど世界に貢献した場合に貯まるポイントらしいく、今はそのシステムを私に負荷がかからない迄に簡易化出来ないので私が持つ魔力で代用しているらしいのだが…もうひとつピンと来ていない。


しかし、解らないなりにも私は馴れた感じで何時ものようにマスタールームの内にある本部からの資料箱を確認するとルヴァンシュ様からのお手紙が入っていたのだった。


「よっこいしょ」


と足がプラプラしなくなった丁度の高さの椅子に座り手紙を読みはじめると、また今回もかなりの量の枚数が入っていたのだった。


纏めると、


『は~い、元気にしてる?危ない事してない??…でも、レベル上げは無理のない範囲で頑張ってね。

とりあえず十歳のお誕生日おめでとう。

年齢が上がり魂と体に余裕が出来たので、ポイントシステムを解放出来そうです。

しかしながらまだ本番の機能を解放するのは難しいので、夜中の日にちを跨ぐ時に自宅敷地内に貴女が居た場合のみ1ポイントが付与されるのみです。

沢山貯めるとダンジョンを作る為に必要な機能の簡易版を獲得出来る予定にしておりますが、獲得するには交換する機能も調整出来ていませんし、一度に色々解放すると貴女の体がもたないので今回はポイント機能の解放のみにしておきます。

お誕生日プレゼントのポイントも一旦はこちらで預かる形にしておいて、レベルが10になったら便利な機能と交換できる様にしておきます。

レベルが10になったらレベルアップボーナスポイントも有りますので危なくない程度に頑張ってね…』


という内容であるが、


『私…今日が誕生日なんだ…適当に決めた割りにはお母さんの見立てって半月程しか狂いが無かったんだね』


という感想が先に来てしまった。


肝心な内容以外には、私の幸運値は体と魂のバランスが、ちょっとちぐはぐな上に強すぎるスキルが同居している為に幸運が私に対してかスキルに対してかぶれるので不運やピンチが訪れるらしいことなどが長々と書いてあった。


あと、私が前世の天界に住まわせて貰っていた時に何度か見た事のある異世界から転移してきて何年も天界や神界で修行していたアマノ様という勇者様への思いが、


『母の中で生きていた時でしたし、勇者として地上に降りてすぐに私達親子はこちらの世界へと飛ばされましたので、私の気持ちは告げられないままでしたが勇者アマノ様はその後に亜神としての修行を始めたられたと彼方の神々からのお手紙にありましたのでいつの日か…』


などと書いてあったのである。


いや、そんな事を私に伝えられても…う~ん…メディカ様の中で生きていて私も此方に来る事になるまで娘さんの存在は知らなかったけど、ルヴァンシュ様としては前世の天界の話もそうだが、天界で修行していた惚れた勇者の話を出来るのは家族を除いて私だけかな?

…でも勇者アマノ様って…脳筋でアホっぽかった気が…ん?こちらの世界に転生する前に御目にかかったメディカ様の旦那様のバルド様にどことなく似ているような…好みって受け継がれるのかな??


などと悩んでしまうが、とりあえず今回のポイント機能とやらの確認をして報告をしなけれはまならないのだが、辺りを見てもポイント関係の資料も無かったのだった。


仕方がないから一番上の引き出しから報告用紙を取り出して記入して行く。


『モリー』『10歳』『レベル8』


という私の基本情報の下に、


『ポイント機能のお話理解しましたが、ポイントの確認方法などが解りません。

正常に機能しているか判断出来ないので確認方法をお教え下さい』


と書いて本部への資料箱に入れて、


「とりあえずレベル上げは確定か…」


と呟きマスタールームから自室に戻ると、


「モリーちゃ~ん!」


とフーイちゃんの声が玄関先から聞こえる。


フーイちゃんは寂しそうに、


「お姉ちゃん、モリーちゃん居ないのかなぁ…」


というとリースちゃんの声で、


「シャロンさんが昨日来ていたから多分本の打ち合わせで疲れて寝てるんだよ…」


と説明している。


「え~、今日は夕御飯前に計算のお勉強見てくれるって…」


と拗ねるフーイちゃんの声で、


『いけない!完全に忘れてた!!』


と私はベッドから飛び起きて、


「フーイちゃん!ゴメンねお昼寝しちゃってたよ計算のお勉強だったね。どうぞ二人とも上がって」


と二人を招き入れたのだった。


フーイちゃんは八歳になった春…つまりこの春には読み書きを覚える為に塾や学校といったものに通う歳なのだが、読み書きのお勉強はミラさんからも教えて貰えるし、メイちゃんのお下がりの私の作った教科書もあるので、アンお姉ちゃんの様に町の学校には行かずにこの集落にて、村になる前に商会の申請を出して少し大きくする予定のワイン販売事業の店番が出来るぐらいになりたいと言って頑張っているのである。


商業ギルドの店舗が出来れば次は前もって予約がされていた新築物件を大工チームが建てる予定であり、ギルド酒場に続き革細工職人を抱えるカバン工房と干し肉などの加工品を作る工房を持つ商会の建物が集落に建つのだそうだ。


正式な村になれば冒険者ギルドの支社も来る為に買い取られて解体された肉や皮が出てくる予定でありそれを一手に買い取り加工するというビジネスプランの商会であり、もう冒険者ギルドとズブズブの店なのだ。


ということで、フーイちゃん的には、


『お肉を扱う店が来ると、お肉を狩りに行く冒険者も来る…戦う人はあの時の騎士団の人みたいにワインを飲みまくる…ということは…稼ぐチャンスだから私も売り子になる!!』


という流れだそうだ。


もうこの歳で商機を伺えるフーイちゃんに店を一軒任せてみては?と思ってしまう。


なので私はそんなフーイちゃんのお勉強に全面協力をしているのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る