きいろい電車

黄色いでんしゃに

黄色いひとびとが乗り

黄色い駅舎が遠くなってゆく


赤いぼくは

みんなに見られているようで

(ほんとうはだれも見ていないのだけど)

汗だくだ


そこに青い年配の女性が背筋を伸ばして

入ってきた


ぼくは断られることを覚悟でその女性に声をかけた


断られなかった。


青い女性も他の黄色い乗客も優しい顔をしている


青も黄色も、赤も、皆、揺られている




たしか、黄色い電車は、かすかに潮の匂いがしたはずだ。

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