第5話 沢山のおったまげ1
朝…目が覚めると、ゆうへいくんがいなくて私は一人だった。一人でいるととても不安になった。おととさんとおかかさんが焼け死んだ場面、村人の恐ろしい顔を思い出してしまう。
「この鬼娘が!!」
「村から出て行け!!」
「喰われてたまるか!!」
思わず耳を塞ぎ震えた。角が出て感情が露わになっていると気付いた。落ち着かなきゃ!
もう1200年経った。あの村人達はとっくに死んでいるはずだ。
そして私はスッと感情を消した。
するとトントンと戸口が叩かれて女の人が入ってくる。
「おはようございます。鈴様…。
私は鈴様のお世話をすることになる、専属の風早民代と申します。お着替えをお手伝いしたり、お風呂の使い方等も早速教えますので。まぁここのお風呂は和風でございますので」
という。
「?お風呂は…蒸し風呂ですか?やっぱり変わってるんですか?」
「ちなみにお聞きしていいですか?平安時代ですか?その時代貴方様はどのような入浴方法を?」
と聞かれたので私は応えた。
「村にある蒸し風呂に集まって入る。お湯の湯気をいっぱい貯めて部屋を…風呂場を温めて、出た汗やアカを葉っぱで落としたら水をかけ流してからお湯に浸かってからでます……。
でも私達は村八分扱いだったから…、お風呂を真夜中に7日に1日しか使わせてもらえなかった。『鬼に使わせるなんて勿体ない』と言われて…」
しかもおかかさんと入浴中に村の男に何度か覗かれたことがあり、おととさんはおかかさんと私が入浴中は、棒を持って村人に必死にやめてくださいと追い払ってくれた。
しゅんとしていると民代さんが
「お可哀想に…。昔の人と今は違うとは言え、差別が酷い時代ですね。さあ、もう忘れてお風呂に入りましょう!」
と私はお風呂に案内された。
そこで私はまた、!たまげる。
「な、何これ?これ?お風呂?綺麗…知らない物がたくさんある。桶はなんとか判った。お風呂は上等な木の造りでいい匂いだし。
私は着物を脱がされて民代さんに連れられて椅子にお座りくださいと言われてちょこんと座ると
「こちらがシャワーです」
と謎の変な形の先端に小さな穴が無数空いたものを握って見せた。不思議がっていると
「これはお風呂に入る前にかける水かけが進化したものですよ。ここからお湯とお水が出て頭や顔、身体を楽に洗い流せます。こちらの赤いのがお湯、青いのがお水です」
と実際に見せてくれてたまげる。お湯とお水が切り替えて出せるし、温度まで調節可能で頭を洗うらしく、冷たい水をかけなくてもいい!!
「あ…ああ…凄い…」
そして白い塊は泡立ってこれで身体を洗うらしい。ちゃんと身体を洗う用の布がある。それも何か凄い見たこともない生地だったけど洗いやすかった。
最初は民代さんが洗ってくれたけど次からは自分でやるみたいだ。
髪を洗う専用のシャンプーとコンディショナーとかも教えてくれた。髪の毛は見たこともないくらい艶々な洗い上がりで逆に怖かった。
そしてお湯にそろりと浸かる。
とても気持ちがいい…。なにこのお湯?疲れがすごく取れる!!
私はお風呂に感動して出たくなくなったけど、のぼせますからと上がらされ次に髪の毛を乾かすドライヤーと櫛を渡させる。
これが櫛?今の櫛って変なの。丸まっているし。しかしドライヤーのブォーと言う風の力で私は
「ひっ!!民代さんも妖術使いだったの!?」
とたまげる。
「ふふふ、違いますよ!これならすぐに髪の毛が乾きますよーとやってもらうと本当にすぐに乾いた。熱風や涼しい風も出せて凄い。
そして綺麗になった髪の毛は艶々のサラサラのキラキラでこれが自分の髪の毛なのかと疑うほどだった。
「綺麗になりましたねー?」
と下着姿の私に言う。この下着も着物を脱いだ時に付けていて、おったまげたけど。こんなの見た事も無かったから今の女の人はほとんどこういうのをつけて生活しているらしい。私は胸を隠すブラジャーと股を隠すショーツを覚えた。
小袖しか知らなかったしこんなの身に付ける時代になったんだ。これならしゃがんだ時に村の男に除かれることも少ない。
便利な時代だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます