第4話 目覚めの儀式(優平)
僕はずっとこの美しい鬼の娘を小さい頃から好きだった。
どうしてか、一族の秘密とされるこの鬼のことは代々土御神家の子孫の土倉家当主に引き継がれてきた。
代々の当主は封印の結界で男は近寄ることが出来ないようになっていたが、何故か小さい頃から僕は初めて地下牢の封印されている鬼を父に連れられて見た。
鈴さんを一目で好きになった。
そして、結界を易々と僕だけは潜ることができた!父でも結界を触ることは出来なかったのに。
そして僕は決めた!この美しい鬼を嫁にすると!当主となり満場一致で決めて16になるのを待った。昔の人は婚姻が早かったらしい。13で嫁に行く娘もいたとか。
1200年もの時で目覚めるなら…僕は文献の鬼の目覚め方を解読し、その口に血を与えて額の封印を消す。というものであった。
そして僕は自らの血を与えようと最初は器に入れて飲ませようとしたけど血が溢れる。
そんな!これじゃ彼女は目覚めない!着物も血で汚れてしまうかもしれない。思案した結果、口移ししかないと気付いて1時間ぐらい葛藤した。とりあえず人払いもした。
意を決して自分の血を口に含み、口移しでなんとか彼女の喉に血を流し込んだ。少しだけ身体を持ち上げるとコクリと飲み込んでくれた!改めて彼女は生きていると知ったし、僕は初めて女の子にこんなことをしてしまい後悔と共に恥ずかしくなり悶えた。
口移しと言えどキス…だったし、これはたぶんディープに入ってしまう!
ああああああああ!と頭を抱えた。
でもや、柔らかかった!!
と考えてたら綺麗な彼女の目が薄ら開きだして僕はもう彼女から目を離すことが出来なくなり一気に色々話した。彼女の声、生きてる目、身体…全部が嬉しかった。手を繋ぎ、外に出ると桜の花びらと共に美しい鈴さんの髪が揺れてこの世のものとは思えないほど心が軋んだ。
お部屋に案内するとお礼だと言ってキスを貰ってと言われて動揺した。さっきもしましたああああ!!ごめんなさいいいいい!!
と思ったけどついに僕は誘惑に負けてキスをしてしまい、あまりの気持ち良さと幸福でぶっ倒れた。
それから数時間後目を開けると何ということか彼女が僕に添い寝している!!
は!?
すすす鈴さん!!
まさか寝ている間に無意識に何かしていないよね?と確認したけど大丈夫だよね。
僕は鈴さんの髪をそっと撫でると静かに部屋を出た。
そして木札を取り出して朱雀を呼んだ。
「ご当主様…お呼びかな?」
赤い髪の鬼は礼儀正しく従う。十二神将の一匹の朱雀だ。
「うん…ちち近くに鬼の気配はあるかな?鈴さん以外だよ?」
「今夜は大丈夫でしょう。結界が効いてますし安全かと」
「そそそそう?良かった。こここ怖い鬼来ないで…」
「全く…貴方は…剣を握ると性格が180度変わるのにどうして普段はこんなに怖がりなんでしょうね?キス一つでぶっ倒れるとか」
「なっ…そそそそんなこと言ったたって!!す、す、朱雀も十二神将達も絶対彼女に手を出さないでよね!僕のお嫁さんなんだからね!」
と睨むと
「えー…誰も手を出すわけないでしょう?貴方が本気になると恐ろしいです。鬼より怖い」
「ひひ酷い」
と僕は朱雀に苦い顔をして自分の部屋で今日の出来事を日記にしたためて眠った。
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