第3話 口付けのことをキスと言うらしい
たいそう美しいお庭をしばらく眺めて
、ゆうへいくんは手を繋ぎ、私をお部屋に案内する。
そう言えばお嫁さんと言っていたけど祝言はどうするんだろう?その後はゆうへいくんと子供を作るのかな??鬼の子なんてまた私みたいに村の子に石を投げられたら…。
「どうしたの?鈴さん?」
とゆうへいくんが私が寂しそうな様子に気付いて理由を話すとゆうへいくんは真っ赤になった!!
「ああ、祝言って結婚のこと?結婚は今はまだ先なんだよ!正式なやつは!だから安心して!
それに村人なんていないよ!村制度なんてほとんどないよ!都は都市とか町とか言われてるし。
1200年経ったから全く違う世なんだよ!建物も何もかもね」
そして広いお部屋に通され
「今日からここが君のお部屋だよ?ちゃんと鍵も中から掛けれる内鍵もついた引戸があるからね」
「こんなっ!広い部屋!!凄く素敵!どうしましょう!!あっ!そうですね、ここ夫婦二人のお部屋だからですね!」
「えっ!?いや、君一人のお部屋だよ?自由に使っていいし、使用人を呼びたい時は内線電話でほら、これ…」
と白い謎の物体を指した。
「電話だよ。これは内線用。上に乗ってる受話器を取るだけで繋がって離れた使用人と会話できるのさ」
と言って驚いた!!
「ななな、何の妖術ですか??怖い!!」
と震えると
「ええ??怖くないよ妖術でもないからね?機械なんだ、人の手で作った物。だから襲っても来ない、いい?」
「は、はい…」
と何とか落ち着く。ビックリして角出ちゃった。本当に私の知らないうちにいろいろ変わったんだ…。
そう言えば夜伽とかも変わったのかな?私、今日からゆうへいくんのお嫁だし?聞いてみた。するとまた真っ赤になった。
「あ、ああの…そういうのはその…。昔は身分の高い人は女の人に世話してもらったみたいだけどやっぱり一般的ではない…よ!きき、気にしちゃダメだよ?」
「でも私ゆうへいくんのお嫁さんだし…こんな豪華なお部屋をいただいて何も出来ることがありません、お金だって持ってなくて…ですからお身体でお払いしなければと」
「それは、だから!昔の人がそういう仕事してる人専門なの!!鈴さんダメだよ!お嫁さんだけど僕たちまだそんなこと…ふふ、普通の恋人…えーと、昔は恋仲だね。恋仲の二人みたいな感じだよ!」
「では…せめて口付けだけでも…お返ししなくては…」
というとまた真っ赤になり
「えっ!くくく口付け…ききキス!?えっ!!?」
と動揺された。?恋仲でも口付けはするはず。身体は断られたし。本当に私には恩を返せるものが何もないのだ。
「どうかお願いです。ゆうへいくん…口付けはキスと言うのですか?今は?そのキスをこの部屋や私の待遇へのお礼として受け取ってください!それ以上でももちろん…」
と言うと
「ももも、もっと自分を大事にしてえええ!!鈴さん!!そそそ、それに言っとくけどね?僕以外の男の人に同じこと言ったらダメだからねっ!!絶対に!!他の男が鈴さんに誘惑してきても絶対にダメだよっ!!」
と何か必死になっている。
「でも…上げれるものが何もなく…」
「それは!ほら!鬼退治で!それ手伝ってくれたら無し!ね!」
「それはお嫁さんになることの条件でこの部屋とはまた違います。…私こんなに良くして頂いたことがないんです!
村人に忌み嫌われて両親も殺されて…。ずっとこんなに優しくされたことなんてなかった!
ゆうへいくん…とても優しくて…。私はお嫁さんになれて良かったです!それにゆうへいくんは素敵です」
最初もやしとか思ってすみませんと謝罪したいです。
私はギュッと自らゆうへいくんに抱きついてしまうと彼はビクリとした。やはり鬼が怖いのかな?
しかしゆうへいくんは優しく私を壊物でも扱うように抱きしめると
ゆっくりと頰を上に向かせた。
キラキラした綺麗な目と目が合う。ゆうへいくんは赤くなり潤み泣きそうに笑い
「す、好きです…。鈴さん…ずっと…」
と言われてドキリと心臓が鳴った。
それからゆっくり近づいて口付け…やんわりキスをされた。私はとても幸せになった。
しかしキスが終わると
「ももももう限界…」
と言い、真っ赤になってゆうへいくんが倒れてしまったので早速私は内線電話とやらを使って、本当に人の声が聞こえてちょっと怖かったけど女の人がすっ飛んできてくれた。
一応説明すると女の人は半目になり、
「では優平様の目が覚めるまでお側でしっかり見守っていてください!お布団を敷いたので添い寝でも…ホホホ」
と女の人は下がった。ゆうへいくんが綺麗な目を閉じてしまったので私は心配になりゆうへいくんの布団へ入り添い寝してみた。
おかかさんも私が熱を出したり体調が悪い時にこうして寄り添ってくれた。もういないけど…。
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