Little boy & Giant tree🌅🌅🌅🌅🌅



ありがとう、ララクーーわたしは突然思い出したのです 遥か遠いむかし、地球上に自然としてはじめて生まれたわたしのそばに、瑞々しい若芽が誕生した日のことを・・・



ーーほんとうにうれしい



パスクアは大げさだなあーーちょっぴりカッコつけて、それでもバレバレの照れ笑いを浮かべるかれでした



かなしいけど、正直仕方のないことだと思ってるのーー藪から棒に切り出すわたしに、ララクは理解が追いつかないようすでしたが、それでも黙ってつづきを待ってくれています



人間が過ちを犯すということ・・・恵まれた環境に慣れると、それが当たり前になっちゃう 大切なものを大切にする理由を、忘れてしまう だから木を伐採したり、鳥を殺してしまう 



・・・だけどね、わたし、ここからいろんなことを眺めてきたわ だから知ってるのーーわたしは自分でも信じられないくらい優しい声が出ていました



人間は失敗をくり返すだけじゃなくて、失敗を活かせる生き物なんだって



覚えていてね、ララク 身近にある大切なものほど、大切すぎて忘れてしまうんだと




あたりはいよいよ暗くなってきました、どれだけちいさな星も映えさせる時間の顕現です・・・



ビュウビュウ鳴く一陣の冷たい風が、夜の調べを告げる汽笛のようです この島を吹き抜けるとき、指を伸ばしてあちらこちらに生い茂った青いススキの髪を生え際まで洗いながら・・・(季節が移ろうたびススキは、島の顔を情緒豊かに彩ってくださります)




とても良くできてるーーわたしは海沿いの祭壇にいくつも並んでいる、完成された石像を見ていました 石像はこちらに背を向けるように肩をそろえており、太平洋を静観していますーーきっと、島の守り神の魂が宿ってくれるはずよ



かれも水平線にしぼんでいく日に一途の視線を注いでいます・・・いいえ、もっと遠くの彼方を見据えていたのかもしれません



ララクは決心の囁きを洩らしますーーありがとうパスクア ぼくね、もっと大きくなったら・・・この島を出るよ



外の世界を知って、たくさんの勉強しないと、守りたいものを守れない気がするんだ



ーーふたりだけの秘密だよ? パパとママにだって言ってないんだから 言えないんだから



どうしてわたしに教えてくれたの?ーー口にした瞬間、野暮だったかなと恥ずかしくなりましたーーララク・・・ありがとう わかった、ふたりだけの秘密ね


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