深海温泉
あなたにだけ教えてあげるけど、第一惑星は何万年ものあいだ雨が降りつづけていたの。そして、海が生まれた。
いまから百億年まえのこと。お日さまが手を伸ばしても届かないような、真っ暗な深海で。ぽこぽこ温泉が湧きおこる、あの場所で。
すべてのいのちが生まれたの!
わたしやあなたの源が。あらゆる愛と差別、生と死、そして途方もない歴史が。
二酸化炭素だけの世界は、もうおしまい。
隕石となって運ばれてきた鉄に、忠誠の誓いを!
バイバイ火の玉 こんにちは蒼い星
水素と酸素と窒素と炭素は、希望と秩序と核と災難になって、わたしたちを創造したの。
まるで、パンドラの箱。
あそこからすべては始まったの・・・
えっ、わたしが生まれた日?
あなたたちのご先祖さまがうまれる、二億九千年まえからここにいたわ。
ひんやりした白内障に迷いこんだみたいな、悪寒のする世界で。いまのように、移動遊園地もなければ、ピンクのチューリップもない。
わたし、この星で初めて生まれた木なのよ。
あ こら
いま かぞえたでしょ
おばあさんって 思ったでしょ 顔に書いてあるんだから
うふふ いいよ 許してあげる
だから いま話したこと 憶えていてね
わたしのこと 忘れないでね
話はおしまい ほら、こっちにおいで
星が瞬く 聖なる夜は
土星の輪っかに、願いをかけましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます