第28話 アフォリズム ~『感覚哲学論考』の一部掲載~
友人が死んだ。
友人は、命が果てる直前に私へ一編の原稿を託した。
それは一般的には了解されないだろうものであると思われた。
しかし、この場にて発表するのは、最期を看取った友として崇高な行為だと信じる。
以下の文を是非読んでいただきたい。
「感覚哲学論考」
1・人間の心の裏の裏は表ではなく、やはり裏である。
1-2.真(まこと)の嘘は真なり。
1-3.「敵の敵は味方」に至る考えに対しても疑念を抱く必要がある。
2.公共においてのみならず、トイレはもともと多目的に用いられる施設である。
3.芸術を爆発させようという意気込みによって人生も爆発してしまう定理は、公理に発展する可能性を帯びる。
4.ラッキースケベは滅多に起こり得ないからラッキーなのだ。
4-2.ラッキーが続く局面はある。
4-3.ラッキーが起こらない人生もあり得る。
5.キラキラネームは特に光彩を放つものではなく、欺瞞的な概念の発露である。
6.日本の未来は、イエイエイエイエ。世界が嫌がる、うぉぅうぉぅうぉぅうぉぅ。
6-2.嗚呼、佐賀の生まれの高二。
6-3.エブリデイ・お注射。
6-4.DAN DAN 心イカれてく
7.「ギャグ道とは外すことと見つけたり」たる意志は、能力と熱量が不足しているギャグマシーンのトートロジーにすぎない。一般意志に発展させるのは極めて困難である。
8.夢なんて見るもんで語るもんで叶えるものだから。
8-2.夢は過去も未来も今も追うものだから。
……この短い草稿は、無茶な生き方を寿命の終わりまで貫いた友人による大いなる思想体系、人生の総決算になるはずだった。
だが少しでも冷静に考えれば、それはとんだ眼鏡違いという結論となるかもしれぬ……。
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