第23話 有名になりたかった
世間を騒がせた事件の容疑者が逮捕された。自称作家である。
轟轟たる非難を浴びる、注目された彼の犯行理由。
「有名になりたかった」。
彼は小説を書いて出版社の編集者に読んでもらったところ、大きな賞を獲っていない無名の人間が書いたものを本にすることはもちろん、雑誌掲載さえ難しいということを告げられていた。彼は自身が有名になる術を思いつくのに難儀していたのだったが、結果として此度の犯行。
結局はそのような犯罪者の小説を発表する出版社はなく、唯一、犯行手記の出版を打診する編集者がいるのみであり、彼の目論見は大きく外れた格好となった――。
今の流行りは有名無実である。無名有実の状態で生きるのは困難な時代になったものだ。
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