第20話 天才の頭の中の奔流フリーウェイ

 真の天才と呼ばれる男は、身動きができない様子だった。

 彼の脳内には、一般の人間には了解できぬ馬鹿げているかのような数の天才的思考が渦巻き流れており、強靱なはずである彼の情報処理能力をもってしても捌ききるには無理なことのようだった。もう肉体が追いついていかない。

 結局、彼はほぼすべての天才的思考を世に出すことかなわず、一生を終えた。

 才能がありすぎると、溢れて無くなってしまい、どうにもならない好例である。

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