第8話

[ たちまち訳あり女子 ]

昼休み後、教室。

『楽しんでこーい!』

担任の声が廊下に響き渡る。

新入生等は運動しやすい格好になり、担任の合図で教室を後にしていた、校内・体育館で行う運動部活を希望していた体験者はマイシューズを持参している者が多く、海学の部活への力の入れ方は知れていると言えるほどのやる気が満々の生徒らは多かった。

『お前なにする?』

『あ?これ見りゃ分かるだろー?』

自慢気に話す男子生徒、手に持っているのはシューズである。

『気合凄く入っているなぁ、ま、俺もあるけど』

『てか、お前は部活動体験はどこ行くんだ?やっぱ、、、お前も!』

『『バスケ!』』

『あぁ、ま!三年間よろしく!』

『おう!』

生徒は駆け足で部活へ向かった。

それを横目で見ていた瞬冶と明は、どこに行くか話しつつ校内を歩いていた。

『何にするかな』

『あれとかどうよ瞬冶!』

校内の掲示板にあるポスターを指す。。

(掲示板?あー、サッカー・野球・バスケねぇ。と、部活設立ってなんだ?)

『瞬冶ー、例の吹部もあるぜ!』

『明は見る?』

明に聞くと首を横に振る。

『いや、いいかな。あ!俺さ野球見に行こうかなー』

『いいじゃん』

『瞬冶もどお?』

『俺はー』

瞬冶は考えながら辺りを見渡していた。

(どうしよう、野球か)

『明俺もー』と瞬冶は言いかけると後方から首元の布を引っ張ってくる女子生徒が居た。

『明くん、借りてくね』

『いてて、げっ!紀亜だ』

『げって何よ!で、明君いいよね?』

紀亜は明の方をニコニコしながら見ていた。

『ど、どうぞ』

瞬冶は彼女に連れられ明に助けを求めるも、それは届かなかった。


部活動体験、屋上。

『い、いたい紀亜!』

『あぁ、ごめん。』

首元を緩めた。

彼女は畏まり瞬冶へ話を始めた。

『あのポスター見た?』

『あのって何だよ』

『あー、あれよ部活設立?よ!』

瞬冶は理解した反応をする。

『私と組まない?』

『え、組む?』

(こいつ何いってんだよ)

瞬冶は困った表情で彼女を見ていた。

『この学校は部活動が盛んでしょ?だから、私が思うに相談の場が必要だと思うの。そこで、部活創設を使い、みんなを救いたいの!それには人が必要ー、だから。』

彼女のいい意味で偽善者な部分に瞬冶は笑みをこぼす。

『わ、私と一緒に部活しましょう!』

彼女は顔を赤らめ、勇気を振り絞って話す。

『なんだそういう事ね』

フッと笑みを溢し、話を始めた。

『なんだとは何よ!馬鹿みたいって思ったの?』

『ちゃんと首席だなー、てよ』

『あ、あーんた褒めてるのか馬鹿にしているのかどっち!』

彼女は突然早口になり伝えてきた。

『、わ、った!』

『え、なんて?』

照れくさいそうに瞬冶はもう一度言った。

『わかった!俺もやるよ。』

少しの静寂が二人に来る。

『ほ、ほんと?本当なのね!やったわ!』

『はしゃぎ過ぎだろ』

彼女の慌てように瞬冶は笑顔で答える。

『コホンッ!瞬冶さ、くん、いや、瞬冶。』

『は、はい。』

彼女はその小さく可愛らしい手を瞬冶に向けていた。

『なんだよ。まだなにか?』

瞬冶はそう返すと、彼女は手を出せと手のひらを見せる。

(手を出せってことか?)

彼女の方向に手を出すとグィっともう片方の手で瞬冶の手を寄せ、握手の形にした。

『これからよろしくね!』

彼女の手は最初は震えていたが次第に止まり、ニコッと笑っていた。

『お、おう。よろしく』

(なんだこれ、何やってんだろ)

紀亜と瞬冶は改めて『よろしく』と言葉を交わしていた。

突然、ガチャッとドアが開ける音がして、二人はパッと手を離した。

『二人ともいたー、いやーさクラスの奴がここに居るって聞いてね。』

髪を触り、笑いながら入って来たのは明だった。

『こんなところでー、何してんだよ。』

二人を見た明はキョトンとしていた。

瞬冶と紀亜はビックリして声が揃った。

『『何もないよー!』』

『お、おう。そ、そうか』

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