第7話
[ たちまち訳あり女子 ]
授業中の教室。
『この問題分かるかー?』
教師の質問が聞こえる。
ホームルームが終わり、生徒らは授業中である。
ノートを書く音、ボールペンのカチカチ音が教室には聞こえる、生徒達は勉強に没頭しているのが分かる。
『はい、先生!Aでしょうか?』
『正解だ、流石は首席だ』
紀亜が答えると教師はそれを強調するように話す。
周りは『『おおー』』と口を揃えた事も合ってか、紀亜は頬を赤く染めて髪の触覚をコヨリとする。
(流石だなー)
瞬冶含め、クラスメイトは感心している。
『なら、授業に戻るぞー、今Aの理由はー』
先生は授業を再開した。
教室。
それから1.2.3.4時間目が終わり、生徒らは真面目に受けて皆ヘロヘロで昼休みに入った。
『はー疲れたぁ』
『うー、腹減った』
『今日どこで食べるー?』
(皆同じか)
クラスメイトの様子を見て苦労を分かち合った気分にあった。
ピンポンパンポンッ。
『昼休みですね。今日も皆さんお疲れ様です。』
昼休みの放送である。
(あー、そんな時間か)
『瞬冶ー、めっしやぞ!』
『おう明ー、そうだな』
瞬冶の正面に弁当片手に持った明が座り話し始めた。
『今日も授業頑張ったー』
『明、まだ終わってないっつーの』
『そうやったな!』
二人は仲良く喋る。
放送では生徒の要望で歌が流れる、二曲ほど終わり放送部の話が始まった。
『えー、放送部です。今日は昼休みの時間を貰い私達の活動を行おうかなと思いまして、よ、よろしくお願いします!』
『せいちゃん、そんなに緊張しないの、皆さん失礼しました。改めまして、仮部長3年の倉井上「くらいじょう」ですーよろしく。』
放送での自己紹介の後、教室では拍手が起こる。
『ほら!せいちゃんも自己紹介!』
『あ、はい。わ、私はー、3年の古江見星伶「こえみせいれ」で、だす!』
教室が静まり返った。
『『え?だす?』』
皆はキョトンとしている。
『す、すみません、彼女はこんな感じですが仕事はしっかりしてる子なんですよ。だよね?』
『は、はい!それなりに。』
『そういうことなので今回も皆さんよろしくお願いします。』
教室内が笑いで溢れ返る。
『で、活動ですがアナウンスコンテストに向けて頑張っています。』
『そうです。』
(アナコンとか言うやつか)
瞬冶は放送に耳を向ける。
『じゃあ、早速今回はこの場を借りて練習をやりまーす。声江見さんに無茶振りでモノマネでもしてみる?』
『ぶぶ、部長なにを、、』
『これも練習だから、やるよー』
『は、はい。』
倉井は息を呑む。
『無理ですよぉー、私には。』
彼女の不安が皆に伝わる。
少しの沈黙の後。ガーンッ、ドーンッ等の衝撃音が鳴る。
放送に入る声が遠ざかる。
『、、やるの!』
『い、いやーです。』
不安が心配に変わる。
『『え?』』
周りがざわつくのが分かる、その中で明はかまってくる。
『瞬冶ー、これも伝統か?』
『ちー違うだろ、多分ー。』
放送室が心配でしかたない。
(これ、だいじょぶか?!)
放送中、ざわつく教室。
『やっぱり無理ですよぉー』
『いや、やるんだ』
倉井と古江見の会話は、放送室の状況が分かる。
騒音と駄々をこねる声が混じる放送を聴くクラスメイト。
『がっがんばれ、、、』
小声で一人つぶやく。
『ファイト』
『見せて下さいよ』
『『フレフレー』』
教室では黄色い声援が飛び交う。
少しの沈黙の後、彼女はマイクを取る音がした。
『私、、!やります!』
『よく言った。OK。ならー、最近流行りのアニメのセリフとかどうかな?』
『まぁ、なんとか』
『決まりだ!皆様温かい目でお願いしますね。』
『は、はい』
『すみません皆さん少しだけ時間くださーい準備しますので』
すると、放送が切れた。
『なんだろー』や、『楽しみー』などの声が多数である。
(あんな内気な人もここには居るんだな)
瞬冶はパンを口に咥えて、ぼーとしていた。
昼の放送では待っている間、音楽が流れている。曲が終わり、準備が出来たのか放送が入った。
『えー、では人気アニメから女性魔法士の決め台詞!どうぞー!』
倉井が覇気を持ち説明した後、皆のざわつきが止んだ。
『ゆ、許さない。』
低音の女性の声が聞こえる、例の古江見の声だ。
(な、なんだこの圧迫感。)
『お前は魔法士、失格だ!』
声は後になるに連れ、甲高く、強くなる。
教室は数秒の沈黙し、ゆっくりと拍手が起こり始めた。
『ど、どうもあーありがとうございますです!』
『このような活動をしていますので、どうぞ放送をよろしくお願いします!』
『ま、す』
プツッと放送が切れ、昼休みの終わりのチャイムがなった。
昼休み後。
午後からは部活動体験の再確認のため新入生全員は集会ホールに集められていた。
『みんなわかったかい?』
『『はい!』』
『それでは話を終わる』
新入生らはしっかり話を聞き、先生へお辞儀をした。
瞬冶は明と同じく行動する事を決め、行く場所のメモを取っていた。
『だいたい整理したよ。明』
『さんきゅっ、にしても凄かったよな!』
明は瞬冶を褒めて、昼の話をしていた。
『あー昼の。凄かったな、世界観に引き込まれた感じだったよな?』
『うん!』
関心していた瞬冶は、良さを事細かに説明していた。
『てか、見たか?首席の顔』
『見てないけど、何があった?肌荒れか?』
『ちゃうわ、目を光らせて放送に集中してたぜ』
『絶対なんかあるな』
首席の事を深く知っている二人は不安な顔を浮かべ声を揃えていた。
『『怪しい。』』
と。
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