第19話「聖剣編8:キャバ嬢と回復士のシズク」

―ギルドマスターズ・ブリダッタス支店・休憩場所


 武器屋の店主から情報を貰い、これからの行動について話合いをすることになった。雪舞姫は尚樹と相談して別行動をとってもらっている。


「シズクさんという方を探してコルテスさんに説得をしてもらう必要がありますね」

「でもさー、その人って男が大好きなえっちい店にいるんでしょう~? 私尚樹が行くのはどうかと思うんだけど」


ヴェルザンディは否定的な意見をしている。しかし尚樹は考えがあった。


「いえ、そこに行かなくともシズクさんは冒険者ですからここに登録されているはずです」

「ええ!?」



シズクはキャバクラ『ニンフの森』のキャバ嬢であり、冒険者としてギルドマスターズに登録されているキャラである。役職は白魔導士・回復系で様々なギルドに派遣されている人物である。


 回復系スキルの持ち主はこれまで戦力にならないとあまり人気が無かったが、魔王軍との戦いと侵略の影響で物資が不足して回復系のポーションが高くなり、コストが高くて入手しづらくなった。その代用として回復系スキル持ちが重宝されるようになったのだ。

 また全員が戦闘型のスキル持ちだと全滅寸前時の退却の際に誰も動けなくなるので、最低1人は回復系のスキル持ちを入れることが鉄則となっているのだ。


シズクはLv21の回復士で全体回復呪文『フルヒーリング』の使いてである。加えてシズクは気づかいや話がうまい人なので、パーティメンバーに入れたいと予約待ちな状態なのだ。


そのシズクは現在加入しているパーティがこれからクエストから帰ってくる予定なので

彼女がパーティから出た後が話しかけるチャンスである。


「成程! それなら店の場所がわからなくてもいいわけですね!」

「尚樹様流石です」

「いや…、そう言う情報があっただけですから」


尚樹はこのゲームをクリアしているので事前に情報を知っていたからできた。もしこのじょうがなければかつてプレイしていた時のように意味のないお使いに付き合わされることになるだろう。


「何いってんのよ! 尚樹はいつも私達パーティの事を助けてくれるんだからそんなに遠慮しないでよ!」

 ヴェルザンディはそう言って尚樹を励ます。


「ありがとうございます…!」


彼女の言葉に尚樹は自信を持った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


シズクが参加していた冒険者パーティが帰ってくるのを見計らい尚樹達はシズクに声をかけた。


「シズクさんですよね、今お話し大丈夫でしょうか?」

「あっはい。手短にお願いします。これから店の仕事があるので…」


ギルドに帰ってきたのは夕方。これから仮眠を取りキャバクラに仕事に行くらしい。尚樹はこれまでのいきさつを纏めてシズクに相談してみる。


「ああ…。コルテスさんねえ…」


これまで聞いてきた店主達同様に彼女もコルテスの名前を出すと難色を示した。


「正直、彼関連のことには関わりたくないのよね。一応お金の払いの良い上客だから相手にしていたけど、ちょっと私の指名を他の客にとられただけで喧嘩してもめ事になって大変だったのよ!」


シズクは今にも立ち眩みをしそうな感じで頭を抱えていた。その喧嘩で店の備品が壊され、客にも怪我人がでたので、そのためコルテスは一時的に出禁になり彼女は騒動の原因として減給処分を受けているので冒険者パーティに参加して生活費を稼いでいるようだ。

 シズクは元々魔法使い志望だったが、きつい修行に耐えれず挫折して得意な回復呪文のスキルが主に使える尖がった特性を持つようになった。今はそのスキルに需要があるので何とか生きて行けるようだった。


「まあ、あなた達の話を聞く限り簡単に断ることもできないわね。魔王軍と戦えるなら早く平和な世の中になって欲しいのは私もそうだし…そうだわ!」


とシズクは何か思いついたような表情を浮かべる。


「ナイトブルー・ローズ。それを採取してくれたら考えてもいいわ」

「えっ!?」

「魔王軍を相手しているあなた達なら簡単なことでしょう?」


 【ナイトブルー・ローズ】は魔王軍の占拠地になっているブリダッタスの旧鉱山、【青銅の坑道】に奥に咲いているという希少な植物である。夜になると咲く特殊な薔薇で、今の期間しか咲かないらしい。


「青銅の鉱山は魔王軍に占拠地にあるけど、あなたたちあの八輝将にも勝っているって聞いてるわ」

「当り前よ! 尚樹にはこのヴェルザンディが付いているんだから!」

「私だっていますよ!」

「まあ、皆さんのおかげで勝てたというか…」

「その花を取ってきてくれたらコルテスさんに相談してあげてもいいわよ」


こうして尚樹達はシズクから【ナイトブルー・ローズ】を採取する事を条件にコルテスへ聖剣作りの相談をしてもらう事になった。


クソゲー名物である冒険と特に関係のないお使いのお使いループにはまったのであった。

(とはいえこれでも店探しを端折っているので短縮されている方である)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クソゲ転生☆ドラグーン・ブレイド!―好きなキャラとハーレムパーティ組んでこの世界で生きていく― Colvo @Colvo880

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ