第4話 その後の日常
あの話を聞いた夜、私は感情が伴わないままではあったが、謙佑に結果を報告した
どんな内容にしたのかって??
真実を言うのもどうかと思ったから、とにかく当たっとけ って伝えたよ
嘘は言ってないが真実も話してないというなんと卑怯な言葉だけどしょうがない。方向性を教えただけでもすごいと自分でも思う
その後、定期報告という地獄の第4回目、ついに2人で遊ぶことになったという事を聞いた
場所はなんと遊園地らしい。まぁなんとベタな
どうせ観覧車のいちばん高いところで告白するんでしょ〜とか思ったら実際そうだった。おったまげ〜
今現在、付き合って3週間ぐらい経ち、もうすぐ春休みが訪れる頃になった
なんでこんなに冷静に考えられてるのかは、今は教室で恵美と謙佑、謙佑の友達、私の4人で話しているが、この後の状況を見ればわかる
「恵美、そろそろ帰ろ」
健佑が恵美の顔を覗き込む。すると、恵美の顔が真っ赤になった
「謙佑くん、分かった。またね晴子」
「またね恵美ー」
「ごめんな2人とも。また明日な〜」
謙佑が恵美の手を取り、恋人繋ぎをする
「今日はどこかで勉強する?」
「そ、そうね、ちょっと考えても良い?」
「うん、いつまでも待つよ」
お分かりいただけただろうか
私はこの状況を未だに理解しきれていない
理由はもちろん、謙佑の態度が有り得ないほどに優しくなっていることだ
謙佑の友達も見たことがなかったらしく私と同じような状況に陥っているぐらいなので、相当変わっているのはお分かりいただけるだろう
告白を成功させた謙佑は次の日から今日のようになった
校内はあの中谷さんに彼氏が出来たと驚愕し、クラスメイトは謙佑の変化に驚愕していた
2人の間に入っていけない謙佑の友達たちが1番知っているであろう私に困惑の視線を送ってくることもあった
結果的に、私は今虚無っていると言っても過言では無い状況ができた
そのおかげか、謙佑への想いは順調に消えかけている。同時に、うっすらとではあるがいいなと思う人ができた。傷心中の心に染みるような優しさを持つ人なので、ほぼ依存なのではないかと思ってはいるが
私は家に帰るため机の上に置いてある文房具らを片付け帰る支度をしていると、先程一緒にいた男の子に話しかけられる
「今更何言ってんだって話なんだけどさ、俺中谷さんのこと好きだったんだ。中学の時習い事が一緒でその時惚れたんだけど、結局告白できなくて、気が付いたら親友が先に好きな人と付き合っちゃったよ。なんか、虚しいよな。こんな事になるなら粉砕覚悟でいけばよかったと思っちゃうよ。実際はそんな勇気ないけどさ」
その友達は遠くを見つめるような目をしながら微笑した
あ、青春終わった……
「そっか…今も好き?」
「そうだね、まだ友達感覚にはなれないかな。少しずつ克服して行きたいとは思うよ」
今度は私の目を見て言ってきた
「…なんで急に言ったの?」
「んー、鈴木さんは謙佑のこと乗り越えようとしてるんだなーって思って、俺も頑張るよっていう意思表示、かな?」
「え?」
私の想いって人に分かるほど態度に出てたの?
じゃあ本人も不確かではあるが程度には伝わっていたのでは?
ていう事は私はあの時振られてたってこと??
そして、良いように使われた??
「あ、謙佑は知らなかったと思うよ?謙佑は自分が特別に扱われてることを知らなかったから。前にからかったことがあったんだけど、普通じゃね?って本気で返してたからさ、そこは信用して欲しい」
「……それは良かったと言っていいのかな?」
「だから俺たち結構気にしてたんだよ、謙佑と中谷さんが付き合ったって知った時」
「……え、じゃああの時の視線って」
「鈴木さんが手伝ったって聞いたからどうしてそうなったのか分からなかったんだよ」
「……」
最悪すぎるー
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