姫の炎
七大悪強悪の魂が浮かんでいる。肉体を再生することはなく、完全に機能を無くした状態になっている。
ゼロは早速、魂を取り込もうとする。悪の王になるには七大悪の魂を全て取り込む必要があるからだ。
ふと、あることを思い出す。
「魂を取り込んでも、身体が耐えきれず死ぬかもしれないけどね〜!」
あのふざけた世界の創造者が過去にそう言っていた。
だが今さら命欲しさに取り込まないなんてことはしない。ここで死ぬのなら、悪の王になり平和を取り戻す資格が無かっただけだ。
ゼロ「…ッ!?アアアアアアアッ!?」
魂を取り込んだ瞬間、想像を絶する痛みがゼロを襲う。
身体に無理矢理巨大な鉄の塊をねじ込まれているような。内側を刃でかき混ぜられてるような。全てを焼き尽くす炎に身体を焼き尽くされるような。そんな痛みがゼロを襲い続ける。
痛みは収まり始める。どれほど時間が経っただろう。とても長い間、痛みに襲われていた感覚だけが残る。
実際のところ、一分しか時間は経っていなかった。だがゼロにとっては、その一分が一時間のように感じた。
ゼロ「俺は…魂を取り込めたんだな…悪の王になる資格があるんだな…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
闘技場で死闘を繰り広げていた頃、イゼは城の地下を探索していた。
地下には腐肉の臭いや、糞と下呂が混ざったような臭いが充満していた。そして辺りには、今にも崩れそうな吊るされた人の死体、顔などが溶けてしまっている人の死体、羽虫に群がられている人の死体などがあった。
イゼ「臭いし見ているだけで最悪なものばっかり…悪趣味すぎよ!」
文句を言っていると大広間に出る。辺りには下水が流れており、天井には羽虫が大量にいる。
イゼ「何ここ〜!?うじゃうじゃいて気持ち悪いよ〜!」
羽虫達が突然、イゼの目の前に集まり始める。
すると忽ち姿を変え、人の姿となる。
虫悪「先程から文句ばかり言いおって、ここは儂の部屋だと言うのにのぉ。」
イゼ「あ〜!六位なのに七位に従っている虫悪じゃーん!こんなところにいたんだ〜!こんなとこにいたらもっと身体臭くなるんじゃなーいの?」
虫悪「口を閉じろ無礼女がァ!儂は本気を出してないだけであのような殴ることしか脳の無い悪種族なんぞ…!」
悪種族ってなんでこんなに煽りに弱いのかしら〜?とイゼは思う。
虫悪「まぁ良い。無礼な者は儂の虫の餌にするだけじゃ。虫達よ。喰え。」
次の瞬間、あらゆる場所から羽虫が現れイゼの身体に群がる。完全に羽虫により包み込まれ、イゼの姿は見えなくなる。
虫悪「こんなもんとはのぉ。口だけは達者な無礼女じゃなぁ。」
悪に染まった目と笑みをしながら見つめていると…
突然イゼを包み込んだ羽虫達が紅い炎で焼き尽くされる。
虫悪「なんじゃ!?この炎は!?」
炎の中から無傷のイゼが出てくる。羽虫達に食い尽くされた痕跡は無く、襲う前と変わりない姿だ。
イゼ「気持ち悪いことしないでよ〜!背筋が凍りそうになったんだよ〜!」
この女…只者ではない!そう思った虫悪は、虫達を直ちにこの場に集合させる。
虫悪「我が虫達!その身を繋げろ!究極の一となれ!」
イゼ「おや〜?必殺技かな〜?」
虫達が一つになり、巨大なハエのような姿になる。
虫悪「見よ!これこそ我の最高傑作!ベルゼブブ!」
虫悪はベルゼブブをイゼに突撃させる。だがその次の瞬間だった。
ベルゼブブは紅い炎に包まれ藻掻き苦しむように焼き尽くされる。
虫悪「なんなのだ…お前はなんじゃ!?そのような力何処で!?」
イゼは悪種族のような笑みを浮かべながら話す
イゼ「こんなのが七大悪なんて、笑っちゃいそうになるわね。」
虫悪はかつてその笑みを見たことがあった。悪種族を焼き尽くす姫の姿を。
虫悪「貴女は…まさか…姫…!」
虫悪は何も喋らず焼き尽くされた。そして灰も残さず、塵となって消えた。
イゼ「よーし終わった〜!ゼロ達は無事かな〜!」
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