第6話 剣士との模擬試合
「リード兄ちゃん早く修行してくれよ。」
ガキンさんがリードさんの腕を引っ張る。
「まずご飯の時間ですよ。ガキンさん。」
私はガキンさん及び止める。
「じゃあ早く食べて行こうぜ。」
「待ちなさい!」
ガキンさんが走るのをマザムさんが止める。
「今日騎士様方がアイスウルフのお肉をくださりました。皆ちゃんと御礼を言いなさい。」
私と子供たちは一斉に「ありがとうございます」と頭を下げ、食事の準備をし始める。
私は5日前孤児院に来ていろいろな事、特に人間族の言葉と礼儀についてを学んだ。私の言葉使いは丁寧だったり乱暴だったりが混ざっていたらしく敬語というものに統一して話すように学び、スライム族にはなくてかなり難しかった一人称というものも学び少し理解を得た。
「リチュさんこの料理を食堂まで運んで下さる?」
私が今までのことを思い出していると職員さんが大きな鍋を指さしお願いする。
「あ!はい、分かりました。」
私は鍋を持って食堂に行く。
「お?今日はカレーか。」
ガキンさんが私が持っている鍋を見ながら言う。
「ガキンさん、お手伝いはいいんですか?」
「別にいいんだよ。あんな面倒なの。」
ガキンさんは後頭部に手を置きながら答える。
「あ!ガキン!サボんないでよ!!
君がいないとテーブルクロスがしけないでしょ!」
キズ―さんが食堂から出てきてガキンさんを呼ぶ。
「うるせぇなぁ。別に一回ぐらい変えなくたって大丈夫だって。」
ガキンさんがキズーさんに向かって舌を出す。
「ガキンさん、テーブルクロス変えないとご飯が食べられないですよ?」
「リチュ姉まで頭硬いんだから。変えなくても別にご飯ぐらい食べられますぅ。」
頭が固い?スライムだから頭部も柔らかいと思うんだけれど。
「でもマザムさんが許さないと思いますよ?そしたらあんなに楽しみにしてた騎士さまとの訓練もできなくなっちゃいますよ?」
私の言葉にガキンさんは焦る。
「げげ!それはやばい!
おい、キズーとっととテーブルクロス変えに行くぞ!!」
ガキンさんが食堂に向かって走り出す。
「もう勝手なんだから!」
キズーさんもガキンさんを追いかけ走り出す。
「走っちゃダメですよぉ。」
私の声は2人には届かず2人は食堂まで走っていった。
ーーーーーーーーーー
食事は無事に終わった。とはいえスライムにはマナのないこの食事はそこまで意味のある行為では無い。
体に貯めて夜孤児院から出てスライムの村に行く途中でナイトバード達にあげる事にしてるのだがこのカレーというものは液体に近く体に溶けてしまいそうだ。
私たちは食後の片付けをして騎士さま方に戦闘を教わりに行った。
私は最初にガキンさんを追いかけてリードさんのところに行く。
「さて、今回の模擬戦は誰からやる?」
「俺が最初にやる!」
私がガキンさんを追いかけ森に出るとリードさんが木の棒を持って子供たちに向きあっており、ガキンさんが手を挙げていたところだった。
「よし!ガキンまずは君からだ!」
「行くぞ!!」
ガキンさんが木の棒を持ってリードさんに向かって突撃する。
リードさんはそれを持っていた木の棒で受け止め押し飛ばし木の棒をガキンさんに振り下ろす。
「危ない!!」
私は走り出しリードさんの木の棒を受け止めムッとした表情を見せる。
「喧嘩ですか?宜しくないと思います!!」
しかしガキンさんが立ち上がりムッとして言う。
「リチュ姉違ぇよ。模擬戦つって強くなる為の勉強のひとつだよ。」
「おぉ〜?私邪魔しちゃった?」
「うん、すっげぇ邪魔!」
「ご、ごめんなさい…」
私はガキンさんに叱られ小さくなった。
と実際に小さくならないように気をつけなくちゃ。
「はは、リチュさんは優しい人なんですね。それに足が早いですね。」
リードさんが笑いながらそう言う。
褒められたのかな?
「リチュ姉、今のはリチュ姉を褒めてんだよ。」
「あ!ありがとうございます。」
ガキンさんが小声で教えてくれて私は急いで感謝をする。
「たく、あ!リチュ姉も模擬戦して貰えよ。」
ガキンさんがイタズラを思いついたように笑う。
「え?リチュさんって職員じゃないんですか?」
リードさんが焦って言う。
「いや、リチュ姉は遠い村にいたから俺たちと同じで勉強してるから俺たちみたいに戦闘の勉強してもおかしくないぞ!」
「そ、そうなのか?」
ガキンさんとリードさんがよく分からないうちに話を進める。とりあえずこの木の棒でなにかすればいいのかな?私は木の棒を持つ。
「リチュ姉、模擬戦はなその木の棒を相手の体に当てれば勝ちってルールさ。本気で殴っちゃダメだけどな!」
「おぉ〜?」
「本当に大丈夫ですか?」
「お勉強なら私やります!」
リードさんの質問に私は笑顔で答える。
「それなら…まぁ…始めますよ!!」
リードさんはそう言うと私に向かって走り木の棒を振る。私はそれを避ける。
次々とリードさんが攻撃をするが私はそれを避け続ける。
この人攻撃にフェイントを組み込んだりもしてるけれど攻撃するところに目線がいく。だからそれに気をつければ攻撃が当たることがない。
「リチュ姉!避けれてんのはすげぇけど攻撃しないと勝てねぇぞ!!」
ガキンさんがそう叫ぶ。
「おぉ〜!そうでした!」
私はリードさんが振り下ろした木の棒を踏み動けなくして木の棒を軽くリードさんの手に当てる。
子供たちからは「おぉー!」と歓声が上がる。
「リチュさん凄いですね。今まで戦闘をしてたんですか?」
リードさんの疑問に私は首を傾げつつ答える。
「いえ?そんな事はありません。今まで逃げ回ってたので攻撃は良けれましたけれど。」
「うーむ。ずっと避けられたのは初めてだな。」
そのリードさんの言葉に子供たちからの拍手が私に向けられた。
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