第5話 孤児院と3人の騎士達

 白銀の鎧を纏った青髪の男を先頭に、黒いローブを来た隻眼の女と青髪の男よりもさらに強固な重装備をし巨大な斧を持つ人物の3人が森の中を進む。


 しばらく歩いていると木々が揺れる。それを見て三人はそれぞれ武器を構える。

 木々からは十体の狼が現れ三人に向かってとびかかる。

 それに対し、斧をもつ鎧の人物が斧を地面に叩きつけ威圧する。

 その姿に狼の群れはすべてが鎧の人物に向き合い威嚇するように唸りながらも足を止める。

 狼達が鎧の人物に注目しているうちに隻眼の女が火のマナを杖の先に集め、火の玉を放つ。

 火の玉が狼の足元にあたり地面を炎の海に変える。

 ほとんどの狼はそれで森の中に隠れてしまったが、一匹の狼だけ残り水のマナを爪に貯め氷の爪を作り隻眼の女を攻撃しようとする。

 青髪の男が狼に向かって剣を下ろし一撃で仕留める。


「孤児院に向けての手土産が出来たな。少し時間がかかったし、急ぐぞ。」


 青髪の男が狼の死体を持ち上げ森の中を進んでいく。目指すはヒューマの村の孤児院だ。


 ーーーーーーーーーー


 騎士達がヒューマの村につき孤児院の中に入るとマザムが出迎えてくれた。


「騎士様方、毎度お疲れ様です。今日もこんなところまでご足労いただいてありがとうございます。」


 その出迎えに青髪の男が持っている狼を見せながら答える。


「マザムさんいつもお出迎えありがとうございます。これ森を歩いてる時に狩ってきたアイスウルフです。」


「ありがとうございます。子供たちも喜びます。」


 マザムがお辞儀をして騎士からアイスウルフの死体を受け取る。そこに髪と目が青い女性が現れる。


「マザムさんその人達は誰ですか?」


「この方達がこの前話した騎士様達ですよ。」


「おぉ〜。」


 女性はマザムの言葉を聞くと騎士達の前に進み頭を下げる。


「はじめまして、騎士さまの皆さん。わたくしはリチュと申します。」


 突然現れた見知らぬ女性からの突然の丁寧な自己紹介に騎士達は少し戸惑いながらもお辞儀をし返す。


「あ、ああ。はじめましてリチュさん。俺はリードです。」


「わ、私はリズ…」


「タンク…」


 青髪の男、隻眼の女性、鎧の人物の順に騎士達は自己紹介をする。


「おぉ〜。リードさん、リズさん、タンクさん。

 よろしくお願いします。」


 再びお辞儀をしてリチュは再び廊下へと出ていく。


「あの方は新しい職員ですか?」


 リードが廊下を指さしマザムに聞いた。

 マザムはリードの質問に答える。


「ええ、5日前に遠くの村からこの村に来まして。元々居た村は滅びてしまったらしくうちで働いてもらってます。

 まぁ、職員というより子供達側かも知れませんけれど。」


 マザムはそう言うと口を抑えて上品に笑う。


「はぁ…」


 最後の言葉を不思議に思いつつリードは答える。

 リードが答えてすぐ後、廊下から孤児院の子供達が玄関に走り込んできた。


「わぁ!騎士の兄ちゃん達だぁ!!」


「こ、こらお前達走っちゃダメだって。」


 走る子供にマザムが注意をする。


「ご、ごめんなさい。騎士さま方の話をしたら皆さん走ってしまいまして。」


 早足でリチュが再び玄関に来る。


「リードお兄ちゃんまた訓練してくれるの?」


「リズお姉さんまた魔法教えてください。」


 子供達が騎士達抱きつきながら一斉に騎士達のことを呼ぶ。


「やれやれ、また忙しくなるぞこりゃ。」


 リードは嬉しそうに笑った。

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