第4話 いざ人間族の村へ

 自分は戦士の子供と眼鏡の子供に連れられて人間族の村に向かっていった。村に行く途中自分は再び子供達の頭を撫でる。頭を撫でると子供たちが喜んでくれるし、何より子供の外皮の触り心地の違いが楽しい。


 戦士の恰好をした子供の外皮はよく人間族の死体の近くに残っているものと同じだ。内側の肉は腐るのにこの外皮は腐らずに残るのでとても丈夫なのだろうとは思っていたが実際に触るととても硬かった。

 眼鏡の方の子供は黒い外皮で戦士の子よりはあまり見ない格好だったがこっちの皮はとても柔らかくすぐ変形していた。


「お姉さん撫でるの好きなのかな…」


「おい、ずっと撫でてくるのやめろよ!!うっとおしいぞ!!」


 戦士の子供は撫でられるのが嫌いなのか撫でる手を振り払って先に行ってしまった。

 そういえば火山に住むスライム達も自分たちの好きな水を嫌っていたっけ?そうか人間族の子供が皆撫でられるのが好きってわけではないのか。


「ゴメンナサイ、ナデラレルノキライナノ?」


 自分が申し訳なさそうにしているとメガネの子供が笑う。


「あはは違うよ。お姉さん、あいつ照れてるんだよ。」


「テレル?」


「あ!てめ、余計な事言うなよ!!」


 自分が首をかしげているとまた子供たちが喧嘩をし始めた。


「ケンカダメ」


 子供たちの喧嘩を止めに入った。

 眼鏡をかけた子供が不思議そうな顔で自分の手を触り始めた。


「お姉さんの体って冷たいね」


「ヘ、ヘンカナ?」


「ううん、冷たくて気持ちいい」


 眼鏡の子供が笑顔で答える。これは、セーフなのかな…

 自分は眼鏡の子供に手を引かれて村までついた。その間戦士の子供はなぜか不貞腐れていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 村に入ると村の奥からふくよかな女性が走ってくる。


「アンタ達!どこ行っていたの!!」


「やべ、マザムのババアだ!」


 戦士の子供のそのセリフにふくよかな女性は腰に手を当て子供たちをしかりつける


「誰がババアじゃ誰が!!アンタらまた勝手に森に出かけたね?」


 眼鏡の子供が黒い外側をとってふくよかな女性に抗議する。


「僕は止めたんだ!でもガキンが勝手に…」


「あ、キズー告げ口するなよ!!」


 ガキン?キズー?どこかで聞いたような…


「ガキン、キズー、アンタらは元々一年前に森で化物と出会ったんだろ?もう勝手に森に出るんじゃないよ!!」


「だから森にいって修行してるんだろ!!あの化物を倒して、スライムの仇をとるんだよ!!」


 一年前?ああ、あのキメラに出会ったときに追いかけてきてた子供達だったのか。

 良かった、無事に村に帰れてたのね。


 戦士の子供、ガキンがふくよかな女性に頭を殴られる。


「バカ!そんなすぐに強く離れないんだから騎士様が来たときに修行すればいいでしょう!」


「ナグルノダメ」


 自分がふくよかな女性を止めに入ろうとしたらふくよかな女性がこちらに気づいたようで子供たちに話しかけた。


「ところでこの方は?」


「リチュお姉さん、森でオークに襲われてた時に助けてくれたんだ!!」


「あら、そうなの。この子たちを助けてくれてありがとうございます。」


「ドウイタシマシテ。」


 自分はふくよかな女性に頭を下げる。そうしていると眼鏡の子供、キズ―がふくよかな女性に自分のことを話してくれた。


「リチュお姉さんこの村に用があるんだって。」


「あら、何かしら?私にできることだといいけれど。」


「ムラデノサギョウシリタイデス。オシエテクダサイ。」


 ふくよかな女性が自分を不審な目で見る。けれどキズ―がそれもフォローしてくれた。


「リチュお姉さんは遠くから来たらしくて言葉とかもだけど知識がないらしいから、それを勉強したいんじゃないかな?」


「ソウ、リチュノムラトオクニアッタ。ケレドウシナッタカラコノムラミツケテキタ。

 サギョウノテツダイシタイカラオシエテホシイ。」


 自分はキズ―の言葉を利用してちょっとした嘘をついた。

 即興で作った噓だったがふくよかな女性はそれで信じたらしい


「あら、そうなのね。村を失ったのはお気の毒に。私は孤児院をやってますので、よければウチに来てください。」


「コジイン?」


「僕たちが住んでいるところだよ。」


「ワカリマシタ。リチュソコイキマス。」


 こうして自分は孤児院なるところに行くことになった。

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