第47話:再確認

教室に戻ろうと部屋を出た時、蒼大が腕を突き出してきた。


「掴んで」

彼の腕が差し出されるのを見て、私は一瞬戸惑った。


「私、歩けるよ」


私は強がってみせたけど、足の痛みがまだ完全には引いていないことを感じていた。


だけど、蒼大に心配をかけたくない一心で、痛みを隠そうとした。


「まだ痛いんでしょ」


蒼大の言葉に、私は驚いた。


「どうして」


蒼大がどうしてそんなに私のことを分かるのか、不思議だった。


足のこと話してないのに。


「分かるよ。見てたら分かる」

「蒼大、」


蒼大の言葉に、私は胸がいっぱいになった。


彼が私のことをそんなに気にかけてくれていることに、胸が熱くなった。


「俺には甘えてもいいんだよ。美月は一人じゃない」


彼の言葉に、私はさらに胸が熱くなった。


「ありがとう。そう言ってくれたから、なんだか勇気出てきた」


彼が私のことをこんなにも理解してくれていることに、感謝の気持ちが溢れた。


「良かった。じゃあ、教室に戻ろうか」

蒼大の声は優しく、私を包み込むようだった。


「うん、行こう」

私は頷きながら、彼の手をしっかりと握った。


彼の手を取ると、その温かさが伝わってきて安心感が広がった。


足の痛みはまだ少し残っていたけど、蒼大の支えがあれば大丈夫だと思えた。


廊下を歩きながら、私は蒼大の手の温かさを感じていた。


それでも、不安だった。

教室に戻りたくない。


あの場所に帰るのが怖かった。


犯人探しをしないなんて、やっぱり無謀なんだろうか。


犯人がいる空間で


私のことを犯人だと思ってる人がいる空間で


一緒に過ごすなんて、できるんだろうか。


疑いの目を向けられるのが怖い。

また何かされるんじゃないかって怖い。


私は、なんのために犯人探しをしないって決めたんだっけ…。


「美月」

私が怯えているのに気づいたのか優しく声をかけてくれた。


「大丈夫だよね。私は一人じゃないんだから」


教室に近づくにつれて、友達の顔が浮かんできて、胸がいっぱいになった。


そうだよ。

疑う人よりも信じてくれる人を。


私は犯人じゃない。堂々としていればいいんだ。


廊下の窓から差し込む光が、私たちの影を長く伸ばしていた。


蒼大と一緒に教室に戻ると、みんなが私を待っていてくれた。


友達の温かい視線に、私は胸がいっぱいになった。


「美月、大丈夫?」

明日佳が心配そうに尋ねた。


その声に、私は安心感を覚えた。

友達の優しさに触れて、心が温かくなった。


「うん、大丈夫だよ。みんなもありがとう」


私は微笑みながら答えた。


犯人探しはしない。

私の意見は正しかった。


そう思えた。


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高嶺の花には彼氏ができない!? @hayama_25

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