高嶺の花には彼氏ができない！？

第21話：また今度の約束

蒼大と二人きりの時間が、まるで夢のように過ぎていった。

彼の優しい声と温かい手の感触に包まれて、心が満たされていく。

その時、突然、静寂を破るように部屋の扉が開いた。

「あ…」

驚きと共に、現実に引き戻された。

まるで、心地よい夢から急に目覚めさせられたような感覚だった。

私は一瞬、何が起こったのか理解できずに目を見開いた。

「えっと…、邪魔してごめん。出直してこよっか…？」

明日佳が気まずそうに言った。

私は心臓がドキドキと早鐘のように打つのを感じた。

「…いや。俺はカメラ届けに来ただけだから。もう行くよ」

蒼大は優しく微笑んで、カメラを差し出した。

「あ、まじ？どこにあった？」

明日佳はカメラを受け取りながら尋ねた。

「教室のロッカーの上だよ」

「まじかありがとう。助かった」

私はまだ蒼大との時間が終わってしまったことに対する寂しさが残っていた。

私の気持ちを察したのか

去り際に蒼大が

「続きはまた今度ね」

と言った瞬間、胸がドキッとした。

私はその言葉が頭の中で何度も繰り返されるのを感じた。

「耳赤いけど大丈夫？」

明日佳が心配そうに尋ねた。

「だ、大丈夫」

慌てて答えたけど、顔がますます赤くなるのを感じた。

…心臓がうるさい。

「待たせちゃってごめんね。あ、じゃなくて、もうちょっとゆっくり来た方が良かった、かな？」

明日佳はそう言うと、ニヤニヤしながらこっちを見てきた。

「もう、揶揄わないでよ」

私はその視線に耐えられず、顔を背けた。

「ごめんごめん。蒼大くんと何かあったの？」

その問いに、心臓がまたドキッとした。

私は必死に否定しようとしたが、言葉がうまく出てこなかった。

「な、何もないよ！」

そう言いながらも、心の中では蒼大のことばかり考えていた。

彼の笑顔、優しい声、そしてあのキス…。

「ふーん、そうなんだ」

と明日佳は意味深な笑みを浮かべた。

私はその笑みに対して何も言えなかった。

「てかドレスよく似合ってるね」

明日佳の言葉に、私は少しだけ照れくなった。

「可愛く作ってくれてありがとう。魔法にかかったみたい」

私は心から感謝の気持ちを伝えた。

「嬉しいこと言ってくれるね。じゃ、写真撮るからここ立って」

指示に従いながらも、心の中ではまだ蒼大のことが離れなかった。

"続きはまた今度ね"

頭の中で何度も繰り返されていた。

ていうか、なんであんなにキス、上手いの？

さっきもすごく余裕そうで、私だけ必死で…

ムカつく。

一体何人の人と付き合ってあんな…

さっきのことを思い出したら、また顔が暑くなってきた。

私は感情を抑えようと必死だったけど、心の中では蒼大のことばかり考えていた。