第20話:永遠の瞬間

彼の唇が離れたかと思うと、再び優しくキスを落とした。


ちょっと待って、


こんなキス知らない、


私は思わず蒼大の肩を叩いて、


「ちょ、ちょっと待って、」

驚きと戸惑いで声を上げた。


だけど、彼の瞳には抑えられない気持ちが映っていた。


「ごめん、止まらない」


彼は囁き、再び唇を近づけた。


彼の優しさと情熱が混ざり合ったキスに、頭の中が真っ白になる。


私は心臓が激しく鼓動するのを感じながら、彼の肩を再び叩いた。


「蒼大、ほんとに、待って...」


私の声は震えていた。


彼はその言葉に反応し、動きを止めた。


彼の瞳には心配と戸惑いが映っていた。


そして、私の目線に合わせるように、優しく覗き込んだ。


「美月、ごめん。大丈夫…?」


私は深呼吸をして、少し落ち着きを取り戻した。


「大丈夫だよ。ただ、ちょっとびっくりしちゃっただけだから」


そう言って、彼を見上げて微笑んだ。


蒼大はその言葉に安心したように息を吐き、私をそっと抱きしめた。


その温もりに、私は少しずつ心を開いていく。


「余裕なくて、ごめんね、」


私は彼の胸に顔を埋め、


「謝らないで。…てくれて嬉しかった」


恥ずかしくて、小さな声で囁いた。


蒼大は聞こえなかったようで、優しく聞き返した。


「ん?何て言ったの?」


「…キスしてくれたのは嬉しかった、けど、慣れてなくて、その、だから…」


私は顔を赤らめながら言った。


蒼大はその言葉に微笑み、私をさらに引き寄せた。


「蒼大、近い、」

私は顔を赤らめながら言った。


蒼大はその言葉に反応し、私を抱きしめるのをやめて、優しく私の頬に手を当てた。


「ごめん。美月が可愛いから、つい」

蒼大視線が私を逃がさない。


私はその視線にただただ恥ずかしくなった。


「蒼大、そんなに見られると恥ずかしい…」

「美月、可愛いよ」


彼の言葉に、私はさらに顔を赤らめ、思わず手で顔を隠した。


なんか、揶揄われてる…?


そんな私を見て、蒼大は優しく笑い、


私の手を取った。


「だめ、ちゃんと見せて」


彼の言葉に、私は恥ずかしさと嬉しさが入り混じった気持ちで顔を上げた。


「…ずるい。なんか、私だけドキドキしてるみたい、」

私は小さな声で囁いた。


蒼大はその言葉に微笑み、私の手を優しく握りしめた。


「そんなことないよ。今だって…美月のこと、めちゃくちゃにしたいのを必死に我慢してるんだから」


「っ…」

驚きで息を呑み、心臓が一瞬止まったように感じた。


「ふふ、可愛い」


蒼大は私の反応を見て、さらに微笑んだ。


その笑顔はまるで春の日差しのように柔らかく、私の心を溶かしていく。


「もう、」

私は顔を赤らめながら、彼の肩を軽く叩いた。


その瞬間、蒼大は私の手を掴み、優しい目で見つめてきた。


「美月、好きだよ」

穏やかで優しい声でそう言った。


その瞬間、時間が止まったかのように感じた。


彼の言葉が私の心に深く響く。


私の心は一層強く鼓動し、胸が熱くなった。


「私も、好き」


その言葉が口から出た瞬間、蒼大の瞳が輝いた。


彼は私を優しく抱きしめ、その温もりが心に染み渡った。


彼の腕の中で、私は安心感と幸福感に包まれた。



離れたくない…



「ずっと、こうしていたいな」

私は彼の胸に顔を埋めながら呟いた。


「俺もだよ、美月」


蒼大は私の髪にキスをし、さらに強く抱きしめた。




この瞬間が永遠に続けばいいのに、と願わずにはいられなかった。

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